シンガーソングライターの湯木慧さんが、9月24日(木)放送のTOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」にゲスト出演。“どんな10代を過ごしたのか”や、8月にリリースされたメジャーファーストEP『スモーク』について、パーソナリティのさかた校長とこもり教頭の質問に答えました。その後編。

●前編はこちら https://tfm-plus.gsj.mobi/news/3feV68ODjZ.html



さかた校長:湯木先生は、8月にメジャーファーストEP『スモーク』をリリースされました。この『スモーク』というタイトルにたどり着くまでをお聞きしたいのですが……前作(セカンドシングル)の「一匹狼」が1年前にリリースされまして、こちらは孤独をテーマにされたということだったんですけど。今作は、前作を作り終えてすぐに思い浮かんだものだったのですか?

湯木:私の作品は全部つながっているので、今の作品を作っているときに次の作品……1個先の作品というのは考えているんです。「一匹狼」ができたときにも、次は“わからない”をテーマにした『スモーク』というものでいこうかな、というのは漠然とありました。インディーズの最後に出したアルバムは『蘇生』というのですが、そこからメジャーファーストシングルの「誕生〜バースデイ〜」、2作目の「一匹狼」、今作の『スモーク』につながっています。

さかた校長:“わからない”をテーマに楽曲を作られたということですが……インタビュー記事で“精神的にどん底だった”というのを読んだんです。人生で初めてかもしれないという何日間を過ごされた、ということでしたが?

湯木:そうなんです。“わからない”というテーマを自分で置いたのにも関わらず……“わからない”って哲学的な話をすると自分と自分との問題で、“わからない”ものを掘り下げていっても答えは無いんです。それで出口が無い所に……役者さんが役にのめり込んで出てこれなくなってしまうように、私も作品とテーマ、コンセプトに入り込んで出てこれなくなった瞬間があったんです。

さかた校長:はい。



湯木:今は笑ってしゃべれるんですけど、ご飯も食べず、お風呂にも入らず、歯も磨かず、キッチンのガスコンロの下に3日間座っていたことがあって。1人暮らしだったので、お母さんが見つけてくれたんですけど、そのときの記憶とか何をしてたとか、何にもないんです。

こもり教頭:うーん……。

湯木:とりあえず“わからない”というテーマで作らないといけないので、“わからない”とは? というのをずっと考えていった結果視野がなくなって。3日間何も食べない、寝ない、風呂に入らない……みたいな。そのときに……お腹が空いているのも感じなくて恐怖とか不安とかに飲み込まれて、「あ、死ぬかもしれない」、「消えてなくなるってこういう感覚なのかもしれない」と感じました。でも「“わからない”で何かを作らなきゃ」という感情だけで息を吸ってはいてた、という3日間でした。

さかた校長:僕はそんな経験ないし、すごく壮絶だと思うんです。そんななかでも「作らないといけない」という思いはあったんですか?

湯木:そのときに生きていたのって、その思いがあったからで。「作らなきゃいけない」、「歌を歌わなきゃいけない」、「生み出さなきゃいけない」という感情だけで生きていた3日間だったんです。

さかた校長:はい。

湯木:その3日間で……覚えていないんですけど、泣きながらキッチンに座っていた記憶があるんです。そのまま泣きながら作業場に行って、作詞ノートだけが開かれている作業台に座って、ギター持って泣きながら手癖コードで作った曲が1曲だけあるんです。本当にそのためだけに生きていたんだなって。曲を作るためだけに生きていた“生”だった、という感じでした。

さかた校長:覚えてないということは、生きるために必要なこととして、本能に刻まれていたのか……。

湯木:何も聴こえない、何も見えない、何もわからないという感覚は、私の中というか感情に多いんです。その中で「自分に何があるの?」と考えて、どんどん減らしていって視野が狭くなって、最後には“歌を歌う”ということしか残っていなかったんです。本能なのか、正義感なのか……細胞が歩いていました(笑)。

こもり教頭:「歌わなきゃ」というのは、使命感なのか意図的に自分が思ったものなのか……。

湯木:“自分で決めたことだから”みたいなことって、なんとなく責任が出てくると思うんですよね。それがそのときの私にもあって、責任とか強がりとかプライドとか……そういう感情をも、自分を救っていたのかもしれないです。

――ここで、『スモーク』収録曲の「狭間」をオンエア

さかた校長:壮絶な3日間に作られた「狭間」という曲です。先ほどの話を聞いてから改めて聴くと、生きるために本能で書かれたからすごく鋭い言葉もありますし、尖ったギリギリの言葉もあって、僕は……成功している人を見て自分と比較してしまうから、より良い結果を出さないといけないと思ってもがいちゃうんです。でも結局は自分で何とかするしかないから、またもがくんですけど……。湯木先生ももがいた先でこの曲を生み出した、そして僕に強さとなって与えられたので、僕にとっても意味のある曲になりました。

湯木:この曲は初めて自分自身のためだけに、自分自身の感情だけをつづったものになりましたね。



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聴取期限 2020年10月2日(金)AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:SCHOOL OF LOCK!

パーソナリティ:さかた校長、こもり教頭

放送日時:月〜金曜 22:00〜23:55

番組Webサイト ⇒ https://www.tfm.co.jp/lock/