「フェデラーに負けて、すべてを失ったと思った」デル ポトロのオリンピックの思い出

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フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)は、そのキャリアを通じて常にロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)のビッグ3の影の中にいた。その一方で彼は数えきれない怪我とも戦ってきた。

それでも彼は何とかビッグ3に対抗できる数少ない選手の一人と目され、実際に2009年「全米オープン」では準決勝でナダルを倒し、決勝ではフルセットの激闘の末にフェデラーに勝利して、グランドスラム優勝を果たしている。


元世界ランキング3位、その長身と出身地から“タワー・オブ・タンディル”の愛称で知られる彼は、2012年の「ロンドンオリンピック」で、歴史に残る名試合の末にフェデラーに敗れた時のことを振り返った。Tennis World USAが伝えている。


デル ポトロは語った。「歴史的な試合だった。僕は、あれがメダルを取れる最後のチャンス、僕にとって一度限りのチャンスだと思っていたんだ。あの試合に負けて、ものすごくショックだった。次の日、ジョコビッチと銅メダルをかけて対戦することが決まっていたけど、勝てる希望はないと思った」


「その晩僕は泣いて、眠れなかった。でも翌朝起きた時には、戦う準備はできていると感じた。失うものは何もなかったからだ。フェデラーとの試合で、全てを失ったと思っていた。でもその日の試合に勝って、銅メダルを取ったんだ」と誇らしげに話した。


「(表彰式で)フェデラーに“どうしたの?ここで何をしてるの?”って聞かれた。僕は“勝ったんだよ”と答えた。そうしたら、彼が“それは素晴らしい、僕もすごく嬉しいよ。あの僕たちの試合の後だ、最高だ!”と言ったんだ。あれが“ロンドンオリンピック”で一番の思い出だな」とデル ポトロは振り返った。


そして、デル ポトロは2016年の「リオオリンピック」でそれ以上の素晴らしい活躍をした。「1回戦でジョコビッチと対戦することになったのを誰も僕に言いたがらなかったよ。ジョコビッチは金メダルの有力候補だったから」とデル ポトロ。


「誰かに聞いた後、すぐにハンバーガーとアイスクリームを食べに行った。自分にチャンスはないと思ったからね。もうメダルは取った、それで十分じゃないかって。でもその週は、僕のキャリアの中でも最高のものになった」


「僕はあの週のことをずっと忘れないだろう。ジョコビッチを破っただけじゃない、準決勝でナダルにも勝って決勝に進み、銀メダルを手に入れた。最高の瞬間だった。オリンピックは忘れられない思い出だ」


(テニスデイリー編集部)


※写真は2012年「ロンドンオリンピック」でのデル ポトロ
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)