「人類にはまだ早すぎる」と話題になった2019年の実写映画「キャッツ」に、登場する猫たちの「肛門が描写されたバージョン」が存在するとの疑惑が浮上。インターネット上では無修正版を望む声が相次ぐなど話題となっています。

Is There a Version of ‘Cats’ With Realistic CGI Buttholes?

https://www.vulture.com/2020/03/is-there-a-version-of-cats-with-realistic-cgi-buttholes.html

Fans beg for release of 'butthole cut' of 'Cats' movie

https://nypost.com/2020/03/18/fans-beg-for-release-of-rumored-butthole-cut-of-cats-movie/

The Cut Of 'Cats' With Buttholes Is The Only Version Of The Film We Want

https://goat.com.au/entertainment/the-cut-of-cats-with-buttholes-is-the-only-version-of-the-film-we-want/



2019年12月20日に全米で公開され、日本では2020年1月24日に封切りされた実写映画「キャッツ」は、世界で最も成功したミュージカルの1つとして知られる同名の舞台作品が原作の映画です。着ぐるみやメイクで猫らしさを演出しているミュージカルとは違い、最新のCG技術を駆使してリアルに擬人化された猫が登場する映画は不気味の谷現象を想起させてしまう出来栄えだったことから、予告編が公開された当時から「人類には早すぎる」と話題になりました。

「人類にはまだ早すぎる」と話題の実写版「CATS」予告編が色んな意味ですさまじすぎる - GIGAZINE



また公開後の評価も芳しくなく、映画やゲームのレビュー集積サイトMetacriticでのメタスコアは100点中32点と振るいませんでした。映画評論サイトRotten Tomatoesの評価スコアに至っては、さらに低い「20%」。同サイトでは60%未満の作品を「腐ったトマトが舞台に投げ込まれるレベル」と格付けしていることから、「20%」がさんざんな評価であることが分かります。

これにより興行収入は7350万ドル(約81億円)と、制作費の1億ドル(約110億円)すら回収できないという結果に終わりました。

こうして劇場での公開が終了し、幕を下ろしたかように思えた映画「キャッツ」が再び脚光を浴びるようになったのは、2013年のアクション映画「G.I.ジョー バック2リベンジ」の脚本などを手がけたことで知られるベン・メクラー氏のツイートがきっかけです。

メクラー氏は2020年3月18日に「必死に『キャッツ』制作秘話を余すところなく語る本を制作しているところです。これさえあれば『キャッツ』を乗り越えられます」とTwitterに投稿しました。これに、同じく脚本家のジャック・ワズ氏は、「友だちの友だちであるVFXプロデューサーは、何カ月か前に『キャッツ』のお尻の穴を消し去る仕事をしたそうです。つまり、どこかに『お尻の穴バージョン』が存在しているということです」と返信。



ワズ氏はさらに続けて「『キャッツのお尻の穴バージョン』を見つける事こそ、私の究極の目標です」とツイートし、「#ReleaseTheButtholeCut(お尻の穴バージョンを公開せよ)」とのハッシュタグを付けました。これは、2017年の映画「ジャスティス・リーグ」に、降板したザック・スナイダー監督が撮影したスナイダー・カット版があるのではないかという疑惑から生まれたハッシュタグ「#ReleaseTheSnyderCut」をもじったものです。



なお、ワズ氏が「究極の目標」を表現するために使った「white whale(白い鯨)」という言葉は、本来は1851年の小説「白鯨」に登場する捕鯨船の船長が、自身の片脚を食いちぎった復讐のため生涯をかけて探した白いクジラのこと指すネットスラングです。また、「whale」は穴を意味する「hole」と少し発音が似ているので、ワズ氏なりの駄じゃれの可能性もあります。

ワズ氏のツイートには「白い鯨というより、聖杯の穴(HOLE-Y GRAIL)だな!」との返信や、記事作成時点で9707件の「いいね!」が寄せられるなど話題となり、「#ReleaseTheButtholeCut」というハッシュタグとともにSNSで瞬く間に広まっていきました。



こうした流れに、2007年のコメディ映画「スーパーバッド 童貞ウォーズ」の脚本を担当したセス・ローゲン氏も「お尻の穴バージョンのキャッツを公開してくれ!」と便乗。



さらに、映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督まで「お尻の穴バージョンの公開こそ、今まさに私たちが必要としているものです」と投稿するなど、無修正版の「キャッツ」を求める声は大きな盛り上がりを見せました。



ただし、「キャッツ」に肛門が描写されたバージョンが存在するという情報の真偽については、かなり怪しいとの指摘もあります。エンターテインメント情報を扱うニュースサイトVultureは「『VFXで働いている友人の友人』は、絶対に信じてはならない情報源としては『任天堂で働いている叔父さん』に次ぐ存在です」と懐疑的。ファクトチェックを行うサイトSnopes.comも「根拠なし」との評価を下しました。

また、未公開情報を募ったメクラー氏のもとには、匿名を希望する「『キャッツ』のVFXの中の人」から「お尻の穴のある『キャッツ』はありません。少なくとも、私は見たことがありません。しかし、偶然毛むくじゃらの女性の局部やお尻の穴のように見えてしまった場面が十数個あったのは事実です。私の仕事は、CGを多用した映画にはよくある話ですが、そうした問題のある箇所を3D映像から2Dの映像に直して修正するというものです」との証言も寄せられました。



こうした情報からニュースサイトGOATは「お尻の穴バージョンは技術的には存在しないかもしれませんが、局部やお尻の穴のように見えるシーンが存在する可能性はあります。『#ReleaseTheButtholeCut』ムーブメントが勢いを増しつつある中、制作会社に求められているたった1つの役目は、それを公開することです。ひょっとすると、オリジナルバージョンよりも稼げるかもしれません」と述べました。