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かわさき新産業創造センターの産学交流・研究開発施設「AIRBIC(エアビック)」で、2019年9月12日、ロボット分野にフォーカスした技術者の交流会「ロボットテックミートアップ Vol.3」が行われた。東京ロボティクス株式会社、株式会社クボタ、GBS株式会社の3社がプレゼンを行った。



そして同社は「半歩先を行くロボットを作っている」と述べて、「Torobo Arm」シリーズを紹介した。これまでに30機関に40台を販売している。同社のロボットは関節をフレームレスモーターやモータードライバーなど部品単位で購入して内製化しており、特にコンパクトな関節の実現に強みを持っている。コントローラーも小型化しており、弁当箱サイズとなっている。ただし安全モジュールなどを入れると大きくならざるを得ないが、それでもカバンサイズにはしたいという。



クボタもそのニーズに応えて、高性能・高耐久農機の販売や、営農ソリューションの提案、スマート農機ん開発を進めている。農業機器は機械化をへて、今ではデータ活用による精密農業と、自動運転農機による超省力化が進められようとしている。



レベル3の課題については、遠隔監視のための圃場基盤・農道の整備、5Gや通信規制の緩和、3Dダイナミックマップの活用など道路走行技術の構築、トラクタのインプルメント装着状態での走行など道路交通法の緩和などを挙げた。会場からは電動化についての質問も出たが、農機はパワーが必要であり、どうしてもバッテリーだけでは難しいと述べた。



レベル2、レベル3それぞれの課題のまとめ

コネクテッド・エクソスケルトン「Cray X」のGBS



GBS株式会社 代表取締役社長 山下英夫氏

最後に、GBS株式会社の代表取締役社長の山下英夫氏が「インダストリー向けエクソスケルトン/パワースーツCray X」と題して講演した。同社の「Cray X」は身体に装着することで重量物持ち上げ時の腰の負荷を下げるパワースーツ。GBSでは「世界初のコネクテッド・エクソスケルトン」としており、IoT対応である点が特徴となっている。



GBS「Cray X」



横のダイヤルでアシスト強度を調整できる

Cray Xは身体の動きを検出して腰部分のアクチュエータを駆動して最大20kgまでのサポートを行う。本体の重量は約8kg。バッテリー動作時間は8時間。



本体は8kg。

主な用途は産業用だ。厚生労働省の基準によれば、人が運んでいも良い最大重量は55kgとされている。たとえば電線の一巻きが50kgだそうだ。こういったものや、組み立て家具の運搬作業などが同社のスーツのユースケースである。特に強いアシスト力が売りだという。



CrayXの特徴はアシスト強度の強さと腰を守るストラクチャー、そしてIoT対応

ドイツに本社があるGerman Bionic Systems(GBS)は、ドイツでは唯一のエクソスケルトン開発メーカー。同社のエクソスケルトンは、もともとは「RoboMate」というEUの研究プロジェクトが元となっている。同社創業者のピーター・ハイリンセッツァー氏は「産業界最大の発明はメガネだ(メガネによって、視力が悪い人も働ける職業が増えた)」と言っているそうで、エクソスケルトンがメガネのように広く使われることを目指しているという。開発陣の多くはKUKA出身だ。GBS株式会社はその日本法人で銀座オフィスと新川崎に拠点を置いている。



German Bionic Systemsのこれまで

山下氏は、今後はアクティブ型のアシストスーツの市場が大きくなると言われていると紹介し、特にヨーロッパ、アジア市場が伸びると考えていると語った。対象分野としては物流や工場、そしてホームセンターなどでの活用が考えられている。



今後のエクソスケルトンマーケット

製品ラインナップは2種類。「Cray X」は産業用のエクソスケルトンである。「Cray +」はまだ出荷に至っていないが、レスキュー向けの、よりパワーの大きいエクソスケルトンだ。前述のとおり、他の競合製品に比べて出力がはるかに大きく、物理的に腰を守るストラクチャーがある点が売りだという。大きな出力にも耐えられる耐久性もある。ドイツではいまエクソスケルトン専用工場を作り、量産を進めようとしている段階だ。外科医との共同研究も進めていて、身体の負荷をどのように低減しているのかも研究中だという。



製品ラインナップは2種類

もとがドイツの会社なのでヨーロッパを中心としているが、アジアでは日本を拠点とし、韓国やシンガポール、マレーシア、香港などに販売を広げていく。ドイツ・ドルトムントではIKEAロジステティクスでも2019年7月中旬から使われている。



想定ユースケース

日本国内でも主に製造業現場での活用を考えているが、ラインのように継続的な業務が続く作業ではなく、部品の搬入や積み込みなどでの活用を考えているという。建設業においても、建設作業そのものではなく、主に搬入作業などでの活用を想定している。同社が市場に出すまでは想定していなかったユーザー層としては、製薬メーカーでの原料粉末の運搬などに用いられている例や、クリーンスーツをロボット装着の上で来て活用している例などがある。



CrayX活用の様子



クリーンルーム内での作業に使われている例もある

「Cray X」最大の特徴が「German Bionic IO」である。通信機能を持つエクソスケルトン・スーツからセンサーデータを取ることで、いつどこで誰がどんな作業をやったのかといったことを20数種類のセンサデータから取得することができる。これによって「人間系のブラックボックス」を見える化することができる。外部からソフトウェアアップデートも可能だ。



スーツの運用状況をとして人間の可視化が可能

サービスの柔軟性を上げ、ユーザーの導入ハードルを下げるためにRasSサービスも始めている。初期費用は649,000円で、月額124,000円から使ってもらうというプランだ。山下氏は最後に「様々な現場で使えることを知ってもらいたい。広くユーザーストーリーを提供していきたい」と語って講演を締めくくった。



初期費用は649,000円、月額124,000円からの料金プランも



交流会では着用体験も行われた

(森山 和道)