大行列だけど並びたい!?  「京都のパン屋さん」5店

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たまごサンドやコッペパン、プロの料理人から愛されるカンパーニュまで、京都の人がこよなく愛する“いつものパン”が勢ぞろい。常連さんに交じって朝食やお土産に選びたい。

名物サンドイッチと、いつものパン。

全国で一、二を争う消費量を誇る、京都人のパン好きは有名。おすすめを聞くと嬉しそうに教えてくれる、老いも若きもパン通です。人気なのがサンドイッチ。京都の人にとってたまごサンドやフルーツサンドは慣れ親しんだ味。新店でも店主が思い入れをもってメニューに取り入れています。

『喫茶マドラグ』のたまごサンドは2012年に閉店した『洋食コロナ』から受け継がれました。「店主から作り方を教わり、思い出の味に近づくようにブラッシュアップしました」と店主の山崎三四郎さん。まず直火で焼き、蓋をして蒸らし、さらにしばらく寝かせて余熱でふっくらと。運ばれてきたとたん、歓声を上げてしまう絶景サンドです。『市川屋珈琲』は季節感を出したくて始めたフルーツサンドがたちまち人気に。食感や酸味、甘味のバランスを見て、切り方や品種の組み合わせを考えるそう。こまやかな心配りから、ロングセラーが生まれます。

パン好き京都を実感したいなら、まずは『まるき製パン所』へ。1947年創業、もともと食べ盛りの地元高校生に作ったコッペパンが名物。平日は朝6時半から店頭の様子を見て焼き続け、自家製の総菜やあんこを詰めていきます。「やっぱり作りたてが一番やからね」とご主人。『ニッタベーカリー』は亡き父の跡を継ぎ、三姉妹が営みます。「継ぐのを考えたのは父が倒れてから。働く姿を見てきたのが大きかったかもしれません。店は同じ場所ですが、パンは私たちが今作りたいもの。父のように地元で愛される店ができれば」

レストランにパンを卸し、土日のみ店頭で販売する『吉田パン』には京都のパン好きがわざわざ足を運びます。「卸ではシェフの意向も入りますが、ここで出すのは、僕が今作りたいパンだけ。常にブラッシュアップしているので、定番のカンパーニュもどんどん良くなっていると思います」と店主の吉田祐治さん。作り手の思いが伝わる、それが京都のパン。ファンにならずにはいられません。

喫茶マドラグTEL:075・744・0067[烏丸御池]

50年続いた『喫茶セブン』跡を受け継ぎ、“喫茶店の良さ”を大切に営む。名物のたまごサンドは洋食店譲りのオムレツ仕立て。水分を逃さないようにじっくりと火入れし、ふるふるのやわらかさに。「ただ大きいというだけでは意味がない。口当たりは軽く、1回の食事として気持ちよく食べきれるものを目指しました」と、店主の山崎さん。材料も一から見直し、かつてのファンからも喜ばれるおいしさに。お昼時は混み合うので、15時以降が狙い目。食材がなくなり次第終了。2日前までの予約で持ち帰りもできる。中京区西洞院東入ル北側上松屋町706−5 11:30〜21:00 日曜休

市川屋珈琲TEL:075・748・1354[五条坂]

『イノダコーヒ』で経験を積んだ市川陽介さんが、祖父の陶房だった町家で営む自家焙煎コーヒー店。旬の果物で作るフルーツサンドは、こちらをお目当てに訪れる人もいるほどの人気メニュー。7月は桃、その後、イチジクやぶどうなどが登場予定。生クリームの甘さは果実によって調整し、柿やメロンは品種の違うものを組み合わせ、食感や香りに変化を出すなど、丁寧に工夫を凝らす。¥1,130。3種類あるブレンド¥470〜(共に税込み)。東山区渋谷通東大路西入鐘鋳町396−2 9:00〜18:00 火曜、第2・4水曜休

まるき製パン所TEL:075・821・9683[大宮松原]

2代目を継ぐ木元廣司さんを中心に、エプロン姿のスタッフが手際よく働き、活気あふれる。人気のコッペパンに挟むのは、揚げたてのコロッケや焼きそば、チョコレートなど、甘辛さまざま。1番人気のハムロールはたっぷりのキャベツとハム。シンプルなのに、また食べたくなる絶妙のバランス。¥170。ずっしり詰まったあんぱん¥150(共に税込み)。総菜やフィリングもほぼ自家製。店頭になくても注文すれば詰めてもらえ、いつ行ってもしあわせ。下京区松原通猪熊西入北門前町740 6:30〜20:00(日・祝日7:00〜14:00) 無休

ニッタベーカリーTEL:075・541・3855[清水道]

三姉妹それぞれが5年間修業し、亡き父が営んでいた店を昨年再開。山食やクリームパンなど“いつものパン”を丁寧に作っている。「バゲットも焼きますが、お年寄りが多いエリアなのでやわらかいパンが多めですね」。粉に水分を含ませてふっくらと口溶けよく。生地に対してバターをたっぷり40%使ったクロワッサン¥180。地元の精肉店『大橋亭』の近江牛コロッケバーガー¥270(共に税込み)。東山区六波羅南通東入多門町158−4 7:00〜18:00(売り切れ次第終了) 火・金曜、7/23〜8/2休

吉田パン[松ヶ崎]

開店前から行列ができる、パン好きに知られる店。レーズン酵母で作るカンパーニュ¥660やバゲット¥390(共に税込み)は香りも食感もいきいき。料理とよく合い、お目当てのファンも多い。新作のゴマクリームパンは蕎麦屋で食べた練りごまの和え物がヒントになったそう。ピーナッツバターよりこっくりしてパンドミとよく合う。来週はこんなふうに焼いてみようと工夫と試作を繰り返し、進化を続ける。左京区松ヶ崎雲路町2−2 アルカディア松ヶ崎1F 9:00〜14:00(売り切れ次第終了) 月〜金曜休

※『anan』2019年7月17日号より。写真・津久井珠美 取材、文・宮下亜紀

(by anan編集部)