参院選を前に大阪で6日、有権者に支持を訴える安倍首相=(共同通信=聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の当局者は8日、韓国に輸出された化学物質が北朝鮮に渡っているとの疑惑を日本の与党幹部が提起したことに対し「国際社会との緊密な協力の下、国連安全保障理事会の対北制裁決議を忠実に履行している」と強調した。

 自民党の萩生田光一幹事長代行はBSフジの番組に出演し、「(化学物質の)行き先が分からないような事案が見つかっている。こういったことに対して、措置をとるのは当然だと思う」と述べ、軍事用途に転用可能な物品が北朝鮮に流れることに懸念を示した。

 これに対し、外交部は慎重な対応を行う方針だ。外交消息筋は「萩生田幹事長代行の発言は政治家の主張に過ぎず、責任ある閣僚の立場ではないという判断だ」とし、「日本政府の公式な立場なのかさらに確認しなければならない」と述べた。

 安倍首相は7日に出演したフジテレビ番組で、半導体材料などの対韓輸出規制強化の理由として韓国が対北制裁を守っていない可能性に言及し、歴史問題を経済対立に拡大しただけでなく「安保対立」にまで広げようとする態度を示しているが、韓国政府は表立った対応を控えている。相手国の首脳の政治的発言に正面から対応すれば状況を悪化させるだけで、事態の解決につながらないとの判断によるものだ。

 日本が新たな報復措置に乗り出す可能性がある点も、政府が慎重な対応を決めた背景にあるとみられる。

 日本は1965年の韓日請求権協定に基づき、第三国の委員を交えた仲裁委員会の設置を韓国に要求しており、18日が第三国を選ぶ期限だ。一部では、この日までに韓国が仲裁委員会設置を受け入れなければ、日本が新たな報復措置に乗り出す可能性があるとの観測も出ている。

 一方、安倍政権が保守世論の支持を得るために「韓国叩き」を行っているとの見方もあり、21日に投開票が予定されている参院選以降の動きを注視すべきとの分析もある。

 外交部は状況の悪化を防ぎながら、日本が不当な経済報復措置を撤回するよう注力する方針だ。