収穫に適したサイズ判断

 佐賀県では人工知能(AI)を搭載したロボットがアスパラガスの収穫を始める。同県鹿島市にオフィスを開設したベンチャー、inaho(神奈川県鎌倉市)と農家による実証で2月からの予定だ。

 同社は野菜の自動収穫ロボットを軸に農業支援を目指すアグリベンチャー。ロボットを販売するのではなく、貸し出して収穫に応じた手数料を得るビジネスモデルを目指す。

 ロボットは線に沿って進むライントレースによる自走式。収穫に適したサイズの野菜をAIが画像で判断、アームでつかんで切断して容器に載せる。アスパラガスの場合、1本15秒で収穫できる。アームを変えれば形状が異なる作物でも1台で対応する汎用性が強みだ。

 収穫の際に目視で成長度合いを判断する必要がある作物は作業に時間がかかる。ロボット導入で農家はブランディングや品質向上などにかける時間が生み出せる。

 inahoは農業が基幹産業の一つである九州でのロボット普及に「まずは大きな市場を取りにいく」と意気込む。

 19年はアスパラガスとキュウリに焦点を当てる計画。鹿島オフィスはロボットのメンテナンスだけでなく、収穫した野菜を使う料理教室など農家と地域の交流企画も手がける考えだ。
(文=札幌支局長・村山茂樹、新潟・山田諒、千葉・陶山陽久、西部・増重直樹)