原発「再稼働」へ、今年は分岐点になったか
![今年再稼働した関西電力の大飯原子力発電所3・4号機(福井県おおい町)](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/b/3/b3b7b_1639_a41fc485_fd803f7e-m.jpg)
関西電力は3月に大飯原子力発電所1、2号機(福井県おおい町)の廃炉を正式決定した。一方で4月に大飯原発3号機、6月に同4号機の営業運転を始めた。保有する11基の原発の道筋をつけた関電の岩根茂樹社長は「民間の中でも、我々が他社をけん引していくつもりだ」と原発重視の姿勢を強調する。
3社の原発が再稼働する中、電力大手10社の19年3月期連結業績予想は7社が当期減益を見込む。火力発電所の燃料価格の上昇などで、収益を圧迫するのが要因だ。
原発の再稼働は各社の収益改善だけでなく、電力の安定供給にも寄与する。9月の北海道地震で北海道電力は主力の火力発電所が緊急停止。全体の需給バランスが崩れ、全電源が停止する大規模停電(ブラックアウト)に追い込まれた。ある電力会社の幹部は「審査中の泊原発が再稼働していれば、停電はなかった」と指摘する。
原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格した国内の原発は、東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県柏崎市、刈羽村)など6基、同審査申請中は12基ある。ただ原発再稼働に向け地元自治体は安全対策など同意に慎重な姿勢を崩さない。19年も安全対策で地元の理解を得るのは喫緊の課題である。
(文=大阪・香西貴之)