ジンバブエ。この国名を聞いたとき皆さんご存知とは思いますが、そういえば、場所はどこだっけ? と改めて思われる方も多いのではないでしょうか?

写真拡大

■ジンバブエという国

 ジンバブエ。この国名を聞いたとき皆さんご存知とは思いますが、そういえば、場所はどこだっけ? と改めて思われる方も多いのではないでしょうか? 南アフリカの北、モザンビーク、ザンビア、ボツワナに囲まれた国です。以前は、南ローデシアという国で、白人中心の政治が行われる国でした。1980年以降に独立し、第2代大統領ロバート・ムガベ氏以降ムガベ政権が続いてきました。

 ジンバブエでは、2004年ころから経済政策の失敗、農業政策の失敗などからハイパーインフレが続いてきました。何度も、高額紙幣の発行、デノミを繰り返してきましたが、2015年にはジンバブエドルを廃止し、米ドルを自国通貨に採用することを実施しました。

 このような情勢の中でもムガベ大統領の独裁が長く続いてきましたが、2017年11月15日にクーデターが発生し、結果的にムガベ大統領は辞任に追い込まれました。ムガベ大統領が、夫人を次期大統領候補としたことや、失政と様々な不正が明るみに出たことなどがこうした事態の背景にあるようです。

■ロシアに次ぐプラチナ産出国ジンバブエ

 ジンバブエが貴金属市場にとって重要な点は、南アフリカに隣接しプラチナの産出国であるということです。以前も触れましたが、ジンバブエは、世界第3位のプラチナ産出国です(注1)。ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(World Platinum Investment Council:WPIC)の2017年第4四半期のレポートによると、南アフリカが72%を産出、ロシアが12%、その後ジンバブエが7%と続きます。

 南アフリカもそうですが、政権の不安定さはプラチナ価格に影響を与えます。南アフリカの時もそうですが、往々にして政権当初は歓迎ムードで値上がりし、その後は大きな変化は当面なさそうとして、プラチナ価格は安定するか下げ基調になる、といった傾向もあるようです。

 奇しくも、南アフリカ、ジンバブエで政権交代があり、経済の安定が政策の中で優先されるならば、この両国にとってはプラチナをめぐる資源政策は大変重要なものになってきます。日々のプラチナ価格を見る上で、プラチナの工業利用の動向などの要素に加えウォッチしなければならない要素となってくるでしょう。

■最後に

 このように、紆余曲折の後、新しい出発点に立ったジンバブエ。南アフリカともども、今後の政治的安定が求められています。それは、プラチナ市場に直接影響を与えるだけでなく、その他の良質な資源を抱えるアフリカ諸国、以前述べたサブサハラ・アフリカ諸国にも影響を与えるでしょう。

 新しく大統領に就任したエマーソン・ムナンガグワ大統領は経済の再生を掲げていますが、特に大きな輸出品目であるプラチナをどう位置付けて再生していくかその手腕が問われることになり、ひいてはそれがプラチナ市場に影響を与えてくると考えられます。

 今日は、ロシアに次ぐプラチナ産出国ジンバブエと題して、ジンバブエについてお話しいたしました。

(注1)グラフ出典
World Platinum Investment Council ”Platinum Quarterly Q4 2017, 8th March 2018, P.8
(情報提供:SBIゴールド)