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●今までの格安SIMとちょっと違う?

MVNOや格安スマホという言葉もすっかり一般的になりました。ただ、安い反面、デメリットがあるのも事実です。たとえばどうしてもキャリアとくらべて通信の安定性は落ちますし、混雑する時間帯などは著しく速度が低下することもあります。ややこしいのは、MVNO業者によっても差があることで、利用者の数によっても快適度は変わります。それゆえに「ここにしておけば未来永劫OK」とはいえないのが現状です。

そんな格安SIM業界に一味違う選択肢をもたらしたのがソニーです。2017年、ソニーは自社で展開する「nuroモバイル」の端末ラインナップに「Xperia XZ Premium」を加えました。Xperia XZ Premiumはスマートフォンとしてトップクラスの性能を持ち、なおかつnuroモバイルの「Xperia限定プレミアム帯域オプション」という専用帯域を使うことで、かなりの高速通信を可能にしています。

実は当初、nuroモバイルのラインナップにはXperiaシリーズが入っておらず、「ソニーなのになぜ」と言われていました。待望のXperia XZ Premiumが加わったことで、nuroモバイルはより魅力的なMVNOになったといえるでしょう。

そんなXperia XZ Premiumですが、どんな端末なのでしょうか。今後MVNOへの変更を検討されている方に向けて、実際に使ってみた感触をご紹介します。

○端末については言うことなし!

Xperia XZ Premiumを一言でいうと、現代のスマートフォンとしての完成形だと思います。とにかく完成度が高く、使っていて「うーん、ここはちょっと……」と感じる部分が皆無です (たいてい一つくらいあるのですが)。

その中でもあえて特に「おっ」と思った点を挙げるなら、一つはカメラ。新開発された「Motion Eyeカメラシステム」を搭載しており、「スーパースローモーション」や「先読み撮影」などが可能になりました。

スーパースローモーションはその名の通り1秒間に960コマのスローモーション動画を手軽に撮影できる機能。動いている被写体を印象的に撮ることができます。また、先読み撮影はシャッターボタンを押したところから少し遡って最大4枚の写真を記録できるというもの。

たとえば運動会でのゴールの瞬間とか、パーティーでクラッカーを鳴らす瞬間とか、一瞬すぎて反応しきれない場面で力を発揮します。いずれもデジカメの高価なモデルには搭載されていたりするのですが……これらがスマホに入ってくるとはおそろしい時代になりました。"インスタ映え"を狙うのにも役立ちそうです。

画質やAFといったごまかしの効かない素の性能もかなり高いのがGOOD。1,920万画素のイメージセンサーは高性能で、ほとんどの場面で破綻のない万人受けする写真をオートで撮ることができます。絵作りは好みもありますが、ほどほどに派手で見栄えがよく、しかしビビッドになりすぎないちょうどよい塩梅です。

さらに、常識的な明るさの場面ではAFも速く、スムーズに合焦します。オートホワイトバランスも優秀で、通常使用で気になることはありませんでした。一応マニュアルモードもあるのですが、ほとんどの場面では、プレミアムおまかせオートでサッと撮るのがもっとも良い結果を出してくれました。

弱点というわけではないのですが、Xperia XZ Premiumは近ごろ高級ラインのスマホでスタンダードになりつつあるダブルレンズを搭載しておらず、これまで通りシングルレンズで勝負しています。ダブルレンズならではの機能 (望遠とか超広角とか)は使えませんが、とはいえシングルレンズで困ることはほとんどないでしょう。

●画面がキレイ!

Xperia XZ Premiumでもう一つ感動したのは、ディスプレイの美しさです。最近のスマホ、特にフラグシップクラスになるとどれでもキレイなのですが、Xperia XZ Premiumのディスプレイの美しさはそれらと互角以上です。輝度も高く、明るい晴天でも比較的画面が見づらくなりません。ちょっと前のモデルを使っていて機種変更するなら、Xperia XZ Premiumのディスプレイに「おっ」と思うのではないでしょうか。

カメラとディスプレイと同じくらい大事なのがレスポンスですが、Xperia XZ Premiumはこれも不満がありません。サクサクヌルヌル動きます。

バッテリーのもちも良好。普通に使って丸一日は十分もつ印象です。本体の発熱も以前に比べると劇的に改善されていると思いました。

……ここまで書いてきたことを見返して、「ぜんぜんレビューになってないな」とため息をついてしまいました。なにしろ目立つ不満点がぜんぜんないので、全部について「いいですよ」としか言えないのです。

強いていうなら、あまりにも「普通に良い」ため、挑戦的な機能がないことくらいでしょうか。スマホにそういったエキサイティングな要素を求めていなければ、最高の選択肢の一つだと思います。

●通信速度や料金をドコモと比べてみた

○通信速度も文句なし!

さて、そんなXperia XZ Premium、これまではドコモでしか取り扱っていなかったのですが、このたびnuroモバイルにもラインナップされました。

nuroモバイルはいわゆる格安SIMブランドなのですが、Xperia XZ Premiumの場合、その力を最大限発揮できる「Xperia限定プレミアム帯域オプション」が使えます。

カンタンにいうと、Xperia XZ Premiumのためだけに専用の帯域を用意して、快適に通信できるというもの。テーマパークのファストパス的なイメージです。nuroモバイルのSIMカードとXperia XZ Premiumをセットにした場合のみ使えます。

実際に通信速度を計測してみましたが、キャリアと比較してもnuroモバイルの速度は遜色なく、むしろ筆者の計測では上回ってすらいました。

○キャリアの料金と比べてみると

この「Xperia限定プレミアム帯域オプション」は月額2,000円となっています。

ここに端末代(分割で買うなら)と基本料金が乗ってきます。最低2GBから最高10GBまで1GB刻みで料金が設定されており、1GBごとに200円上がります。データ専用か、データ+SMSか、音声通話付きにするかで変わってくるところは一般的なMVNOと同じ。

たとえば月に使用する容量は5GB (1,300円)として、音声通話 (700円)をつけると2,000円。ここに「Xperia限定プレミアム帯域オプション」を加えて4,000円。初年度は計2,105円の割引※が入るので端末代を除くと1,895円となります。

これをドコモと比較すると、カケホーダイライトプラン (1,700円)にデータMパック (5,000円)とSPモード (300円)。月々サポートが月に2,268円引かれるので、4,732円となります。2年目以降はnuroモバイルの割引額が減るので差は縮みますが、それでもnuroモバイルの方が安くなりますね。

ただ、Xperia XZ Premiumの端末が10万円弱とけっこう高いので、分割された金額も考えると、「あれっ、そんなに安くないぞ」と感じるかもしれません。とはいえ、通話機能を外してさらに安くしたり、データ容量を1GB単位で選べるところはキャリアにはないメリット。たとえば筆者なら、SIMから通話を抜いて550円安くし、その分データ容量に600円プラスして3GB増やします。

nuroモバイルは価格の安さというよりも、キャリアレベルの回線を持ちながらMVNOのように個人に合わせたプランのカスタマイズができることが最大のメリットかもしれません。

キャリアとMVNOのちょうど間にあるニーズを満たすサービスとして、今後の台風の目となりそうです。