なぜ、これほどあっさりとやられてしまうのか。
 
 個人の判断ミスはともかく、チームとして見るなら、理由のひとつは森岡を投入したことだろう。どうしても攻撃的な選手は、中盤のカバー意識が低い。最終予選の最終戦、サウジアラビア戦を思い返すと、柴崎岳が同じように中盤のカバーポジションを取れず、侵入を許したシーンに似ている。槙野が語ったように、攻撃の選手とは、いつでも前に行きたがる生き物なのだ。
 
 加えて、その攻撃的なインサイドハーフを、守備のハードワーカーとは言えない久保と並べたことが問題を深くした。これは采配を含めて、改善の余地があるのではないか。
 
 リズムの変化に虚を突かれたのも大きい。それまではパス、パス、クロスと、サイド攻撃を繰り返したベルギーが、いきなり中央へスルスルとドリブルで割って入ったプレーには意外性があった。何となくみんな「パスだろう。どこかで離すだろう」と決めつけ、相手のリズムに慣れすぎていた。意表をついて繰り出されるドリブルに、日本は非常に弱い。これも改善しなければならない。
 
 とはいえ、これで一旦は守備に目処が立った。次なる課題は、ボールを奪った後の攻撃のプレー。一歩一歩進むハリルジャパンだが、どうにか本大会に間に合うのだろうか。もう1試合も無駄にできない。ブラジル戦の前半のような後悔は、二度と経験したくないところだ。
 
取材・文:清水英斗(サッカーライター)