母になる|日本テレビ公式サイトより

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 沢尻エリカ(31)が主演を務める「母になる」(日本テレビ系)第8話が31日に放送され、平均視聴率9.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)となった。

 これまでも、新たな問題が次々と起こり一体何が本題なのか分からなくなってきていた『母になる』だが、第8話ではさらに問題が盛り込まれ、話がぶつ切りで展開されていった。もはやメインストーリーがどれなのか分からなくなってきている状態だ。

 そもそも、登場人物の設定が特殊すぎると思うのは私だけだろうか?メインである広(道枝駿佑:関西ジャニーズJr.)と柏崎夫婦、門倉麻子(小池栄子)は仕方ないにせよ、新たに登場した上牧(大塚寧々)も自分のネグレクトが原因で子どもを失った過去がある。上牧の亡くなった息子と同級生だった木野も同様だ。さらに、今まではどういう関係?と疑問しかなかった琴音(高橋メアリージュン)も15歳で家を出て、里恵(風吹ジュン)に拾ってもらって今に至るという経緯の持ち主だった。

 ただでさえ、誘拐された子どもが戻ってきて家族の再生を図るという複雑な話なのに、登場人物の全てが複雑な過去を持っている必要はあるだろうか?毎回毎回、色んなところで問題が起きるので、話の展開が進んでいるように見えて、本筋の部分では全く進展していないのが現状だ。

 また、めちゃくちゃなのは登場人物だけではない。あまりにも色々な話題を盛り込みすぎたせいでひとつずつの話の展開がぶつ切りなのだ。まず、上牧が再婚相手の子どもに対してもネグレクトをしていたことを、麻子に発見された結果、子どもが児童相談所に保護されることになる話。麻子が勝手に人の部屋を無断で開けているにも関わらず、そのことには一切触れられていない。過去に勝手に人の部屋に侵入して子どもを連れ去っているという事実があるうえで、このことに触れないのはおかしくはないだろうか?いっそのこと、「あなたはそうやって子どもが一人でいたら勝手に部屋に上がり込むんですね!」と結衣と修羅場になった方が面白かったような気がする。

 この余計な展開のせいかどうかは分からないが、広に麻子の過去を打ち明けるシーンはあまりにも雑すぎだろう。他の部分でお涙頂戴の演出を入れるくらいなら、もっと広の心情や、打ち明けるまでの柏崎夫婦の葛藤を描いてほしかった。

 広が学校に来ていないと連絡を受けた結衣の態度もそうだ。麻子の犯罪歴を聞かされた翌日に学校に行っていないとなれば、関係性があると考えるのが当然。普通の母親なら、「自分があんなことを話したから……」と焦って取り乱してもおかしくない状況だ。それなのにいくら麻子がその場にいるからとはいえ、あまりにも落ち着きすぎなのだ。慌てて広と連絡しようとする場面では、「学校は携帯禁止です。かけても出ません」なんて言う結衣。それに対し、麻子は「何いってんの?学校に来てないんだから!」とツッコむのだが、「あ、そっか」と結衣はすっとぼけを連発する。これには、視聴者も「何いってんの!?」と唖然としたに違いない。

 本当に重要な部分は雑にさらっと流れていってしまう展開に、もはや虚しさすら覚える。さらに、次回はまたもや新たな登場人物が出てくる様子。繭(藤澤遥)の突拍子のない広への告白も、おそらく次回への伏線のつもりなのだろう。ただ、必要のない展開になりそうな予感しかしない。無駄に登場人物を増やしたり、他の人物にばかり焦点をあてずに、もっと丁寧に狭い範囲で広のおかれている現状や心情に切り込んでいってほしいものだ。

文・吉本あや