脱SMAPに拍車か?ジャニーズが目論む”ネット配信進出”という賭け

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 ジャニーズWESTのメンバー全員が主演を務めるドラマ、『炎の転校生』の制作が決定した。なんと、Netflixオリジナル作品でだ。

 ジャニーズ事務所といえば、肖像権や著作権にうるさく、オフィシャルな形であってもネットの露出を最低限に抑え、ある意味ネットを無視する方針を採ってきた。その姿勢を、音楽ジャーナリストの柴那典氏は2017年、ジャニーズとネットの関わりを「本当に特異的な、世界レベルでも他にないくらいのスタンス」だと語っているほどだ。

 突然のネット作品進出に、ジャニーズに詳しい関係者は、「SMAP解散以降のジャニーズの戦略が変わったため」だと語る。

「今回の作品は世界190カ国で放送されますから、ジャニーズの世界進出の一つともとることができます。しかし、それだけではない。それよりも、SMAPという絶大な力を失って、テレビやマスコミへの影響力が低下してきた今、新たな戦略を練らなければならない。それが、今まで無視してきたネットへの進出なのでしょう」

 今や、テレビでのドラマ枠が減り、ジャニーズが必ず主演を張れる時代ではなくなった。積極的ではなく、仕方なくといった意味合いが強いようだが、ジャニーズのこの選択は逆転の一手になる可能性もある。

■「仕方なく」が最良の選択に?

 前出の関係者が語る。

「ジャニーズのファンは、自分が応援するアイドルへの投資を惜しまない傾向があります。だから、ジャニーズ主演のオリジナルドラマは、特定の層にのみですが、キラーコンテンツになり得ます。このような動画配信サービスは月額コンテンツですから、ジャニーズドラマによって顧客が増えるのは歓迎すべき事態。さらに、ファンが見ると考えれば、低評価にもなりにくく、人気作と呼べる作品に出演したという箔もつきます」

 また、ネット配信後の展開もジャニーズにとっておいしい話になるかもしれないと続ける。

「Netflixとフジテレビは提携しています。そして、フジテレビとジャニーズ事務所も関係が深い。今回のドラマは、フジテレビ制作ではありませんが、配信後、評判が良ければ、地上波で放送するという道も考えられます。もちろん、フジテレビなら、その逆輸入がやりやすい。動画配信先がNetflixだったのは、ここまでの戦略も入っているかもしれません」

 ネットの世界には後手後手だったジャニーズ事務所。とはいえ、コンテンツの力は日本随一。業界を変えるような大きな影響力を持つポテンシャルを秘めているようだ。

文・真田栄太郎(さなだ・えいたろう)※1978年神奈川県出身。大学在学中にフリーライターとして活動を始め、『東京ダークサイドリポート』(ワニマガジン社)、『週刊宝島』(宝島社)、『Hot Dog Press』(講談社)などに寄稿。現在は週刊誌の記者・編集者として事件、芸能取材に奔走する