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by Sam-Cat

2017年1月にHDMI Forumが新規格「HDMI 2.1」を発表しました。数字だけ見ると「HDMI 2.0」から「HDMI 2.1」の変化は小さいように見えますが、実際に「可能なこと」は大きく変わる、としてTechquickieがムービーで解説しています。

HDMI 2.1 as Fast As Possible - YouTube

2013年に発表されたHDMI 2.0は4K解像度に本格対応した、ゲーマーにとって非常に魅力的なものとなりました。



そして2017年1月、新たに発表されたのが「HDMI 2.1」規格です。



「『2.0』から『2.1』への変化」と聞くと、「Windows 『8』と『8.1』の違い」というような、小さなバージョンの変化のように聞こえます。



しかし、実際のところ、この変化は非常に大きなものです。どれくらい大きいのかというと、何の変哲もないカタツムリが……



爆発。



そしてアーマーカタツムリへと変化するようなもの。数字としては小さな変化ですが、「できること」が拡大されます。



まず、解像度について言うと、次世代の8K(4Kの4倍、7680×4320)放送や 4K画質でのVRコンテンツ再生など、より高画質の映像出力が可能になります。規格上は最大10K出力にまで対応しているとのこと。



HDMI Forumは、「10K映像」の意味するものが1万ピクセルが並ぶ16:9の映像なのか、それとも映画のようなより幅広の映像になるのかについて言及していませんが、少なくとも4K映像を越えるド迫力のものであると考えられます。



また、HDMI 2.1のすごさは解像度だけでなく、フレームレートについても言えます。



10K映像の場合、フレームレートは120Hzまで対応。



8K/60Hzに対応の最新規格「Displayport 1.4」であっても、HDMI 2.1と比べれば「まるで歩行者のようなレベル」とのこと。HDMI 2.1が高速かつ大容量のデータを転送可能な規格であることが強調されています。



ただし、これだけのピクセルを使って映像を出力させようとすると、コンピューターには高性能のグラフィックボードを搭載する必要があります。



またHDMI 2.1はゲームなどの可変リフレッシュレート(VRR)に対応する「ゲームモードVRR」をサポート。



これは可変リフレッシュレートによってPCやゲームコンソールから出力されたイメージの遅延やティアリングを低減できるというもの。NVIDIAのG-SYNCAMD FreeSyncといった技術に近いとのこと。



HDMI 2.1により開発会社のエコシステムを抜けだし、より自由な選択ができるようになるわけです。



HDMI 2.1に搭載されている、映像をこれまでよりリアルに見せる技術は他にもあります。例えば、ダイナミック・メタデータに対応していること。HDMI 2.1はHDMI 2.0と同じく、明暗のレベルを調整するHDRをサポートしていますが……



HDMI 2.1はさらに、HDRにダイナミック・メタデータというコンセプトを採用。



この技術は映像の明るさやコントラストなどをフレーム単位で厳密に調整することを可能にします。





ドルビーのHDRスタンダードもダイナミック・メタデータをサポートしていますが、これは独自の技術。しかし、HDR10と言われるこのスタンダードがHDMI 2.1と共に広まれば、多くのデバイスの価格も下がるはずです。



HDMI 2.1では、映像だけでなく音声も優れたものになります。オーディオに新たに搭載された仕組みが「eARC(Enhanced Audio Return Channel)」です。



eARCはHDMI 1.4で初めて採用されたARCという技術を拡張させたもの。HDMI 2.0までのARCはDolby Atmosなどのオブジェクトベースのオーディオシステムに対応していなかったのですが、2.1のeARMはこれに対応。映画館のようなサウンドが家でも作れるようになります。



しかし、上記のような機能を実現するためには、48Gbpsという広い帯域幅が必要になり、ケーブルの太さはHDMI 2.0の2倍になると考えられています。



また、PCI Expressを採用した既存のSSDよりも速いデータの読み込み/書き込み速度が求められるとのこと。



そして高画質の映像を楽しみたい場合は、新しいテレビと入力デバイス、コンテンツに加えて、HDMI 2.1のケーブルが必要になります。



間違って何十万もするHDMI 2.0のケーブルを買わないように注意すること、とムービーは締めくくられています。