自民党本部で講演する野中広務元官房長官(撮影:吉川忠行)

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野中広務元官房長官(79)は15日、自民党本部で講演し、中韓両国との関係悪化にからみ「先方の神経を逆なでするようなことが度重なって行われている」と苦言を呈した。自らの戦争体験を語りながら「靖国問題について、昭和史だけでももっとみんなで読んで欲しい、そしてもう一度検証して欲しい」と述べた。

 また、野中氏は、1990年の「金丸訪朝団」への参加以来取り組んできた日朝国交正常化交渉や、北朝鮮のテポドンミサイル発射実験があった98年当時、小渕恵三内閣の官房長官として対応に当たった経験を振り返り、「私どもが果たし得なかったことをやったのは、勇気があった」と日朝首脳会談の実現や一部の拉致被害者の救出など小泉外交を評価。

 その上で、「核の査察というのは拉致問題と並列した重要な問題。6者協議が円滑にやれるように、韓国・中国・日本が連携し、米国の強力なサポートをもらいながら是非解決して欲しい」と山積する課題の解決を求めた。

 同講演会は、「自民党立党50周年記念事業」の一環で毎月開催されている「歴代総裁・官房長官リレー講演会」で、今回は6回目。これまでに中曽根康弘元首相や宮沢喜一元首相らが講師となり、7月には福田康夫前官房長官、10月は橋本龍太郎元首相、12月は森喜朗前首相が担当する予定。【了】