MICHI「初心を忘れず、夢に向かって全力疾走したい」――1stアルバム『Sprint for the Dreams』をリリース
沖縄初のアニソンシンガーとして、TVアニメ『六花の勇者』のOP&ED主題歌『Cry for the Truth/Secret Sky』でデビューしたMICHIが、1stアルバム『Sprint for the Dreams』をリリースする。本作についてはもちろん、音楽に囲まれて育ったという自身のルーツから、最近のプライベートまで、たっぷりと話を聞いた。撮影では、普段はまったく着ることがないという女の子らしいスカート姿も披露。「恥ずかしいです」と照れながらも、とびっきりの笑顔を見せてくれた。

撮影/西村 康 取材・文/照沼健太 スタイリング/ホカリキュウ

音楽に囲まれて育ち、当然のように歌手を目指した



――MICHIさんの音楽的ルーツは、地元・沖縄にあるそうですね。

はい。母がダンスのインストラクターをやっていたこともあって、朝起きた瞬間からずっと音楽が流れているような家庭でした。それに沖縄では「音楽の街」と呼ばれているコザ出身なんですけど、本当に街中に音楽があふれていて、常に音楽に触れているような環境でした。

――「音楽の街」というのは、演奏する人が多いということですか?

そうですね。米軍基地が近いので、アメリカの方たちを楽しませるために、ハードロックなどの音楽が盛んなんです。紫、カッチャン、それからORANGE RANGEなどの先輩方が有名ですね。ミュージックタウン音市場というライブハウスでは、いろんなバンドが演奏していますし、屋外でもヒップホップのダンスの大会が行われていたり、エイサーという沖縄の伝統舞踊も盛んで、全部ひっくるめて音楽の街と言われてるんですよ。

――お母さんがダンスのインストラクターとのことですが、MICHIさんもダンスを習っていたんですか?

ちょっとだけ。いろんなジャンルをちょっとずつやってみたくらいです。

――そんな環境で、MICHIさんはどんな音楽を好んで聴いていたんですか?

ほとんど洋楽ですね。洋楽とアニソン。オタクだということを隠していた時期は、J-POPも歌えるようにしていましたけど(笑)。



――洋楽というと具体的には?

お母さん世代の曲から流行りのものまで一通り聴いてました。ジャネット・ジャクソン、カルチャー・クラブ、ホイットニー・ヒューストン、マイケル・ジャクソンから、ビヨンセやブリトニー・スピアーズ、バックストリート・ボーイズにイン・シンクとか。お父さんはずっとエルヴィス・プレスリーでした(笑)。

――家族みんなが音楽好きだと、家でどの曲を流すかで揉めたりしません?

その権力争いに、私は参加できないんですよ…お母さんかお姉ちゃんの一騎打ちで、どっちが早く起きているかみたいな戦いなんです(笑)。でも、お母さんとお姉ちゃんで共通している趣味はマライア・キャリーで、それを流せば平和、みたいな。私はイヤフォンでひとり黙々とアニソンを聴いていました(笑)。



――小さい頃はどんな子どもでしたか?

すっごく恥ずかしいんですけど、子どもの頃の私はモデルになると思ってたみたい…。3歳くらいまでの写真は全部ポージングしているんですよ(笑)。それとお姫様になりたかったみたいで、スカートしかはかなくて、ズボンをはかされると暴れて大泣きしてたそうです(笑)。

――THE女の子だったんですね。

幼稚園の頃に『ワンピース』が流行って、そこからワンピースごっこをし始めたりして、一気に男の子っぽくなりました。近くに住んでいた幼なじみがみんな男の子だったので、一緒に木登りとかするようになって。ガジュマルという大きな木に登って、先生に怒られたこともありましたね(笑)。

――クラスではどういう存在でした?

クラスでもうるさかったので、目立つタイプだったと思います。女の子のところにわざと虫を持って行って驚かせたりしてたくらい、やんちゃガールでした(笑)。

――(笑)。そんなMICHIさんが歌手になりたいと思ったキッカケは…?

それが、コレっていうキッカケがないんですよ。当然のように歌手になると思っていたというか…。誰かに憧れたというわけでもないんです。クリスティーナ・アギレラとか、海外のパワフルな歌い方をする人に憧れたりはしていましたけど、直接的なキッカケではないんですよね。




「夢は叶ったけど…」デビューして最初に思ったこと



――デビューのキッカケは、アニメ『六花の勇者』のエンディングのオーディションですよね。

そうです! アニソンって可愛らしい声や高い声の方のイメージが合って、まさか自分が合格できるなんて思っていなかったので、本当にビックリしました。

――審査員の人たちの前で歌うの、緊張しませんでした?

審査員の人たちはいたんですけど、オーディション会場がレコーディングスタジオで、気持ちよく楽しんで体を動かしながら「イエーイ!」ってノリノリで歌っていたら……受かってました!(笑)

――デビューが決まって、周りの反応はいかがでしたか?

オタク友だちは、みんな自分のことのように大喜びしてくれました! でもお母さんは「ふーん、スゴいじゃん、よかったね」って、ビックリするほど反応が薄かったですね(笑)。もともとすごくクールなんですけど。でも、完成したCDを見てすごく喜んでくれました。「サイン!サイン!」って(笑)。



――デビューから一年。夢が叶った一年であると同時に、大変なこともいっぱいあったと思いますが、振り返ってみていかがですか?

デビューして最初に思ったのは「夢は叶ったけど、ここからが大変なんだな」ということ。右も左も分からない状態で、目の前のことにがむしゃらに全力で取り組んできた、そういう一年でしたね。デビューした当初はまだどこか夢見心地でしたが、徐々に「私はアニソンシンガーなんだ。ここに立ってみんなと一緒にやっていくんだ」と自覚が出てきました。

――歌手活動の中にはライブがありますが、デビュー前にライブ経験はありましたか?

まったくしたことなかったので、足がガクガク震えましたね。初めてのライブは記憶ないですもん。頭が真っ白になっちゃって……。

――スタッフさんによると、「ステージに上がるとちゃんと歌えてましたが、MCは最悪でした(笑)」とのことです(笑)。

そう、私は人前でひとりでしゃべるのが苦手なんですよ。本当にしゃべれませんでした。それは今でも変わらないのですが…(笑)。最初はラジオコメントも1〜2分程度の収録に1時間くらいかけちゃったり。何を言っていいのかわからないし、間違ったらどうしようとか、イントネーションはこれでいいのか…とか気になっちゃって(笑)。

――イントネーションなんて気にしないで、自由に話したらいいのに…! いま目の前で話してるMICHIさん、とってもお話が上手ですよ!

あははは、ありがとうございます。そうなんですよね、型に入っちゃうと「もう窮屈でイヤだー!」ってなっちゃうから。



――憧れている人として、藍井エイルさんやLiSAさんのお名前を挙げていますが、アニソンシンガーとして活躍されている方は、たくさんいらっしゃいますよね。その中で、MICHIさんの“強み”ってどんなところにあると思いますか?

声の低さじゃないですかね。アニソンシンガーって可愛らしい声だったり、声が高かったり、基本的にハイトーンを鍛えている方が多いんですよね。その中で自分はこの声なので、いい意味で差別化できているんじゃないかなと思います。

――その低い声には元から自覚的でしたか?

小さい頃から「ハスキーだね」って言われてたんですけど、母の声が私よりもずっとハスキーだったので、自分ではそんなに意識していなかったんですよ。

――そうだったんですね。あとMICHIさんの場合、洋楽を聴いていたというのが大きいかもしれませんね。

そうですね。ハスキーボイスの歌手をよく聴いていたので、自分もああいう声が出したいと思って、わざとガラガラにさせていた時期もありました(笑)。