「暑い日には熱いものを食べたくなる」と言う人がいますが、本当ですか? 暑い日ならば、私は冷たいものを口にしたいなぁ。やっぱりかき氷なんかが好きだし、ちゃんとした食事にしても冷やし中華系の夏っぽいものをいただきたいです。

冷たくなったからこそおいしい「担々チャーハン」


「冷めたご飯はおいしくない」と思われがちですが、冷めたからこそおいしくなったメニューが話題になっています。肉あんかけチャーハン店「炒王(チャオ)」が都内3店舗(吉祥寺本店、中野店、神田店)にて9月までの期間限定で提供するのは、その名も『冷やし坦々チャーハン』(税込730円)。
冷えたチャーハンだけでも解せないのに、「担々チャーハン」とはこれいかに!? そこで今回は「炒王」中野店にお伺いし、噂の新メニューをいただいてみたいと思います!



では、まずメニューの詳細についてから。ベースとなるのは、もちろん冷たいチャーハンです。その上に、トマト、キュウリ、レタスといった夏野菜を乗せ、お肉とは別にチャーハン専用で味付けした辛み鶏そぼろが添えてある。そして、チャーハンの下にはジュレ状にした鶏ガラスープとシャーベットが隠れています。
この『冷やし坦々チャーハン』について、同メニューを開発した「炒王」プロデューサー・坂井謙介さんに話を伺いました。実は坂井さん、フジテレビ『料理の鉄人』に最年少(25歳)で出場した実績の持ち主なんですよ!


「最初は温かくしたチャーハンに冷たいスープをかけて召し上がっていただこうと考えたんですが、結局それだとぬるくて中途半端なんですね。そこで、今度は炒めたチャーハンを冷凍する方法を考えました。試しに食べてみると、溶ける感じとシャリシャリした食感がいい具合になっていて『これはイケる!』と」(坂井さん)

というわけで、噂のメニューが記者のところにもやって来ましたよー。


あらぁ、彩りがスイーツみたい! 崩すのがもったいないですね……。
「いえいえ、上から下へ混ぜるようにして食べてください。下にジュレがありますので」(坂井さん)

言われた通りに混ぜて食べたら、その方が圧倒的においしい! 気取って崩さないよう気を付けていると、おそらく醍醐味は全く体験できません。崩したからこそ、ジュレと混ざって本領が発揮されます。
「上の野菜はしっかりした味付けにし、下のジュレは全体がまとまるような味にしています。あと、下にあるシャーベットの正体は担々麺のスープを固めたものです。ひき肉を炒めてからスープを入れ、そのスープを凍らせました。だから炒めた肉の旨みは、シャーベットに移っています」(坂井さん)

要するに、このチャーハンは冷たくなってこそおいしいのです。冷たくなっているということは、旨みたっぷりのジュレやシャーベットが染みてるということだから。

もちろん単純に、「冷たい」ってだけで食べると生き返ります。ジュレの旨みも、冷たいからこそ伸びた感があるし。
「他店の“冷やしチャーハン”との違いは、ジュレとシャーベット状スープのバランスです。冷やしたり冷たいものをかけるだけなら簡単ですよね? 当店ではジュレやシャーベットにし、食べ進める工程で段階的に冷たくなることを計算しています」(坂井さん)
このチャーハン、開発スタートから商品化に至るまでに2年の歳月を要した苦心作だそうですよ!

「シンガポールチキンライス」からインスパイアされた“パクチーチャーハン”


実は同店、もう一つ夏季限定のメニューを展開しています。せっかくなので、そちらもいただきましょうか。その名は、『パクチーチキンチャーハン』(税込830円)です。


見ての通り、パクチーがたっぷり乗ってます。
「チャーハンの上にチキンが乗り、パクチーが乗って、その上にカリカリのフライドオニオンを乗せました。チャーハンに付くのは、醤油やナンプラー等を混ぜたタレ。かけてもいいですし、つけてもいいです」(坂井さん)


インスパイアされたのは、シンガポールチキンライス。好みで辛味噌をかけて食べる、シンガポールでは国民的な人気メニューです。
「私はシンガポールでもお店をプロデュースしていますが、シンガポールで一番おいしかったのは、結局シンガポールチキンライスだったんです。そこからヒントを得ました」(坂井さん)

というわけで、このチャーハンにもタレをかけていただきましょうか。パクッ! ……あっ、おいしい。たしかに、タレはちょっと辛いです。でもパクチーの存在によってマイルドになり、結果としてはちょうどいい。ケミストリーって言うやつでしょうか?
「チキンが元々持つ味は甘いので、辛いものと一緒になっても大丈夫なんです」(坂井さん)

あと、最上部に乗ったフライドオニオンが効いてます。やわらかめのチキンにこれが乗ると、カリカリしたアクセントになりますね! スープが濃い口なので、パクチーが苦手な男性にも全然オススメできるでしょう。

それにしても同店の“冷やしチャーハン”は、私にとって新境地でした。酷暑にかき氷は言うまでもなく最適ですが、体を冷やしつつスタミナを補充させるチャーハンも捨てがたい。でも、ただ冷やしただけじゃありません。開発に2年かかったチャーハンですよ!
(寺西ジャジューカ)