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ANAホールディングス(ANAHD)は7月25日、越境EC物流事業者であるロケーションホールディングス傘下のACDに出資し、中国向け越境ECにおける物流ソリューション「新越境EC物流サービス」を2016年9月から提供開始すると発表した。

昨今、訪日旅行などを契機として日本の優れた商品の購入を要望する海外の利用者ニーズが高まっており、特にマーケット規模が大きい中国の消費者向けに自社商品を届けたい日本の事業者も急増しているという。

一方、中国向けの越境EC商品の輸送・通関については適切に対応されないケースが多く、2016年4月から中国の税関当局は越境ECを含めた個人輸入に関する新たな通関申告制度「輸入電商用通関申告システム」を導入するなど、関税の適正納付に向けた規制強化が進んでいる。

この新制度の下、EDI(電子データ交換)による通関業務を認められる複数の企業が指定を受け、ANAグループの物流会社であるOCSの中国現地法人の欧西愛司物流(OCS中国)は、北京税関での同業務に関する指定企業のうちの1社となっている。

新サービスは、すでに世界109カ国で販売実績を持つ越境ECプラットフォーム「マルチリンガルカート」を運営するACDが、これまで培ってきたノウハウを利用し、OCS中国との連携の下で新たに開発する事前通関用商品登録システム「EKKYO.NET」と、ANAグループが展開する中国向け総合越境ECソリューション(サービスモデル)となる。

EKKYO.NETを通じて登録したデータをOCS中国を通じて事前に登録することで、ANAグループの一貫輸送により中国の消費者まで確実に商品を届けることを可能としている。なお、同社によると同様のサービスの提供は日本初だという。

これまで中国向けEC貨物の輸送・通関においては、現地制度への対応不足などにより消費者への遅配・未達といった事例もあった。同サービスはEC貨物の新通関申告制度への対応および高速一貫輸送という2つの強みを持つため、中国向け越境EC市場、日本のEC事業者双方の成長に寄与するとしている。

今後は、ACDの既存顧客や国内大手家電量販店など越境EC事業者に対する同サービスの提案及び物流面でのサポ-トに加え、ACDによる越境ECモールの運営なども検討していく。

(山本善之介)