ぶっちゃけ言えば、かつて眼鏡はありがたくありませんでした。私が子どもの頃は、「そばかす」と並び称されるほど日陰者的なアイテムだったし……。

しかし、現代での持て囃されっぷりと言ったら! 今や、装着するとオシャレ度が1アップするほどです。ダテ眼鏡を掛けてる人だって、少なくない。私も、パソコンに向かう時や車に乗り込む時など、要所要所で眼鏡にお世話になってます。ちなみに、所有している眼鏡は7種類。我ながら、まあまあ持ってる方だと思うのですが。

"眼鏡の聖地"鯖江で育ち、鯖江から発信されるお米


そんなお洒落な「眼鏡」が溢れる環境から生まれたお米が話題になっています。5月末より発売されている、その名も『めがね米』はパッケージからして眼鏡です。


いや、パッケージだけではない。生産農家、精米業者、販売者、全ての工程に眼鏡をかけた人たちのみが関わっており、まさに眼鏡が溢れる環境で育ったお米になっています。




しかも、福井県鯖江市の「YK工業」が生産農家として携わっているとのこと。言うまでもなく、鯖江は"眼鏡の聖地"ですよね!

でも、なぜ「眼鏡」と「お米」がリンクしたのか? その経緯を、『めがね米』を販売するWeb制作会社「株式会社mgn」(東京都渋谷区)の大串肇代表に伺いました。
「福井県はコシヒカリの発祥の地です。現に平成27年の品質検査で福井県産コシヒカリは特Aを取得するなど、味・品質共に自信をもってお薦めできるのですが、全国的には米どころとして今ひとつ認知度が低い状況です」(大串代表)
そこで、考える。より多くの人たちに、どうすれば福井のコシヒカリを届けることができるのか?
「鯖江は眼鏡の生産地として全国的に有名ですので、福井県鯖江市産の質の良いコシヒカリを、何かしら『眼鏡』と関連付けて販売するのはどうだろうか? というアイデアが生まれました」(大串代表)
実は昨年、宮城県の「萩野酒造」が『メガネ専用日本酒』を発売して話題を呼んだのもヒントになっています。
「"眼鏡といえば鯖江"というくらい有名な名産品ですから、『鯖江にこそこんな商品があったらいいんじゃないか?』と思い付きました」(大串代表)

それにしても、よく考えてください。全ての工程に、眼鏡をかけている人のみが関わっているんですよ? そんな面子を集めるだけで難儀だと思うのですが……。
「ちょうど幸いなことに、たまたま関係者全員がめがね愛用者(老眼鏡含む)だったため"眼鏡をかけた人たちだけで作ったお米"というストーリー性も持たせることができました。全員が眼鏡愛用者でなければ『めがね米』というネーミングは採用されなかったと思います。まさに運命ですね」(大串代表)

"眼鏡の聖地"は"お米の聖地"でもあった?


コンセプトの詳細と、そこに至るまでの経緯はわかりました。でも、『めがね米』の本意は「福井のお米を食べてもらいたい!」です。ということは、やはり味が気になってくる。でしょう!
じゃあ、いよいよ『めがね米』の詳細を以下にご紹介しましょうか。

●一等米
(年産、産地、品種が正しいか、お米の形が揃っているか、傷のあるお米がどの程度あるのか、水分量はどうかの等級検査において、主食用最高ランク)
●食味ランキング・特A
(炊飯した白米を実際に試食して評価をするテストにおいて最高ランク)
●味度80点以上
(計測機械によってお米の味を科学的に分析して出される数値「味度」で、日本のお米の平均値65〜75点を上回る、"おいしいお米"の目安=80点以上の点数が出ている)
●特別栽培米
(福井県認証区分3に指定された)

「『めがね米』は、非常に高品質なお米です。これら全ての条件を兼ね備えたお米は、そう多くはありません。仮にスーパー等でお安く手に入るランクのものを"普通のコシヒカリ"とするならば、何の前知識がなかったとしても『今日のお米は全然違う、おいしい!』と食べた瞬間にわかるくらいの違いを感じていただけるのではないかと思います」(大串代表)

そんな『めがね米』が想定するターゲット層は?
「やはり、一番は眼鏡に愛着のある方です。眼鏡を普段かけているかどうかは問題ではなく、愛着がある方ですね。そして、お米が好きな"お米通"の方です。また、可愛いパッケージの小さいサイズでご用意しましたので、お若い方々にも気軽なおみやげ・プレゼント品としてお手に取っていただければと思っております」(大串代表)

現在、『めがね米』は、Hana道場、久保田酒店(どちらも福井県)、mahika mano(東京都)といった実店舗か、ネットショップにて購入することができます。価格は、各袋2合入りで1,500円(税込)。
「おみやげ用の小袋入り商品としましては相場と同じくらいかもしれませんが、グラムあたりの単価は正直言いまして割高です。少量生産であることと、特別栽培米であり、もともとの原価が普通のお米より高い等の理由から、このような値段設定となっております」(大串代表)

ちなみにパッケージは3種類あり、これらを「めがね米3兄弟」と呼びます。


●ウェリントンめがね
めがね米3兄弟の長男。エリートで賢くスマートな印象。ITを駆使して、お米業界のオンもオフも自在に乗りこなす。
●ボストンめがね
めがね米三兄弟の次男。少しクラシックな印象。時代に流されず、マイペースにこだわりのお米を求め続ける。
●ラウンドめがね
めがね米三兄弟の末っ子。個性的でキュートな印象。アートや音楽、文学の巨匠も愛用した丸い形でお米にインスパイアを与える。

見事にキャラクター分けされてますが、3兄弟の中身はどれも一緒だそう。冷めないでください。可愛らしくないですか!?
「大変ありがたいことに、ネーミングやコンセプトが面白い、パッケージが可愛らしい、などのポジティブなご意見を数多くいただいております。また、商品をご購入いただいたお客様からは『味もおいしかった』とのご意見もいただきました」(大串代表)

ちなみに『めがね米』には、「甘み・香りが濃く、粘り気の強い、冷めてもおいしい」という特徴があるのだそう。
でも、せっかくならば湯気がモクモク上がった状態でいただきたい。もちろん、眼鏡は掛けたままで。レンズは曇るでしょうけど、それもオツじゃないですか?
(寺西ジャジューカ)