「汚デスク」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 読んで字のごとく「汚いデスク」のことだ。書類が散らかったデスク、そこかしこに付箋が貼られたデスク、不要な資料が山積みになったデスク……。おそらく多くの方が「だらしない」「清潔感が無い」などネガティブな印象を受けるだろう。一方で「散らかったデスクはひらめきを生みやすい」といった研究結果が発表されるなど、汚デスクの是非については賛否両論があるようだが、本当のところはどうなのか。

そこで知り合いを頼り汚デスクを探しだし、某Web企業に勤務の女性社員Aさん(26歳)に話を伺うことにした。オフィス内でも彼女の汚デスクっぷりは有名なのだという。

「隣の人の視線が気になるんです……」


まずはAさんの汚デスクを見ていただこう。


こんな状態のデスクをあなたは見たことがあるだろうか? 仕事に支障はないのかと伺ったところ仕事は“順調そのもの”とのこと。入社4年目にして、担当チームのチーフポジションを任されているというのだ。どうやらAさんの場合は、汚デスクだからといって仕事のパフォーマンスが下がっているということはないようだ。ちなみに、左右の境界線部分は一体どうなっているのだろうか。



境界線を探すこと10分。やっとのことで境界線と思しき隙間を発見した。この部分だけを見るとまるでゴミ屋敷のようにも見える。そして、座った時の目線以上の高さにまでものが積み上げられているのは一体なぜなのだろうか? Aさんに話を聞いてみると「一度隣の人の視線が気になり始めると仕事に手がつかなくなってしまって……それで出来るだけものを積み上げるようにしていたら、気づいたらこの高さになってしまって……こうでもしないと仕事に集中出来ないんです……!」とのこと。Aさん曰く、周りからの視線をシャットダウンし、仕事に集中出来る環境を作ることを常に心がけているのだという。

汚デスク上に我々の考える“常識”はない


取材のため、普段の仕事の様子も見せてもらうことになり、しばらくしてAさん宛に電話が鳴った。


「はい!お電話代わりましたー、Aですが。」と答えるAさんの持つ受話器に信じられないことが起きていた。


電話コードにネクタイが絡まっているのである。ただ、ここは「汚デスク」である。ここに、我々の考える“常識”は存在しないと考えた方がよいのかもしれない。仕事に集中しているAさんからすれば、コードにネクタイが引っかかっていようが、PCの裏に傘が刺さっていようが仕事の質には関係しないのだ。

「女子力アップアイテム」で癒やしの空間を


こんな汚デスクの中、仕事で高いパフォーマンスを出すAさんの秘訣とは一体なんなのだろうか。Aさん曰くそれは、“女子力アップアイテム”だという。それらを随所に配置しておき癒やしの空間を作り出すことで仕事へのモチベーションが上げるのだという。たしかにこの汚デスクの中には、よく見ると女子力の高いアイテムがちらほらと見える。


一見するとただの汚デスクにしか見えなかったAさんのデスク。だが、その中にもAさんだけの“常識”があることがわかった。
汚デスクという環境の中でも、結果的に高いパフォーマンスを発揮すること出来るのは、この常識があるからなのかもしれない。

取材を終えAさんのデスクをあとにしようとした時、高く積み上がった山の中にあるものを見つけた。



これは世にあるデスクのほんの一例に過ぎないだろう。デスクの上にはデスクの数だけの“常識”があるに違いない。
もっと面白いデスクと出会うため、これからも取材は続きそうだ。