ラーメンの魅力といえば、「安くて美味しい」だと思います。……が、一方でそのイメージに縛られている一面もある。“コストの壁”に阻まれ、大胆な試みに挑戦できない。
そんな状況を打破すべく、ラーメンブームの火付け役「麺屋武蔵」渋谷店が今週の木曜〜日曜(29日)の期間限定で特別メニューを提供しています。その名は『鯨ら〜麺』。


価格は、破格の2,000円です!

希少で高級な部位「尾の身」を使用


ところで皆さん、鯨って食べたことあります? 若い世代ほど未体験者が多い食材ではないでしょうか。
「だから今回はラーメンにして、みんなに知っていただきたいなと思っています」
こう語るのは、「麺屋武蔵」渋谷店の紅葉宏行店長。まだ37歳の若さですが、北海道のご実家では幼い頃から食卓に鯨肉が並んでいたそうです。

若い皆さんに説明すると、実は鯨を体験している世代で鯨肉に良いイメージを抱いていない人は多いらしいです。というのも鯨肉には「生臭い」という特徴があり、だから敬遠する人は少なくない。
「でも、尾の身に関しては別です。ぜひ、このお肉を知っていただきたいなと」(紅葉店長)
“尾の身”とは、鯨のしっぽ辺りを指します。希少な部位であり、高級。なかなか、食べる機会のないお肉です。しかし、臭みが無い部位なので美味。ここを、今回は贅沢に使いました!

“鯨のラーメン”を食べてみた


では早速、『鯨ら〜麺』を作っていただきましょう!



ラーメンの詳細は以下ですが、ふんだんに鯨が使われています。
●スープ
自家製鯨ベーコン(うま味)と生畝須(香り)でとったスープに鯨の皮100%のコラーゲンスープを合わせたダブルスープ。鯨ベーコン本来の香りや、うま味をダイレクトに味わえるよう、塩のみで味付けされた。


右の「畝須」という生の部分をベーコンにすると左側のような状態になります。
「今回はベーコンにする前の状態と、ベーコンにした状態でダシをとっています。これを軽く炒めてお酒を振ったところに、昆布とかつお節でとったダシを入れて一緒に沸騰させていきます。脂部分が乳化して、ちょっと白っぽいスープになります」(紅葉店長)
このベーコンをつまんで食べてみると、たしかに独特の臭いがしました。
●麺
歯切れの良い食感を楽しめるように金粒粉でストレートの細麺を使用している。
●尾の身


刺し身で食べられる尾の身を大判にスライスし、片面だけ軽く醤油で「漬け」にしている。
●トッピング
水菜のお浸し、胡麻油で和えた白髪ねぎ、新しょうがなど

というわけで、出来上がりました!


このラーメン、おすすめの食べ方ってありますか?
「最初は普通に食べて、後半では尾の身で野菜を巻いて食べていただきたいです。野菜も巻きやすい長さでカットしています」(紅葉店長)
じゃあ、まずはお肉をそのままいただきます。……おぉっ。なんか、食感が独特ですね!?
「そうですね。牛とも、またちょっと違う。けど、やわらかい」(紅葉店長)
また、スープは非常にやさしい味です。独特の臭みがある鯨肉でしたが、ダシをとってスープにしたら生臭さは残っていませんでした。深みのある塩味です、鯨だけに。

じゃあ尾の身のお肉でお野菜を巻き、いただいてみましょうか。


あっ、おいしい! パンチのあるしょうがが、このお肉で巻くとグッとおいしくなる。相性、バッチリです。ちなみに、このお肉の厚みは3〜4mmくらい。

「鯨を知らない若い人に食べてもらいたい」


というわけで、お肉とスープに鯨が使われた鯨づくしのラーメンを堪能しました! おいしくもあり、初体験でもあり。
「試食された方の中には『実は、鯨が苦手なんです』という人もいらっしゃいましたが、実際に食べていただくと『これならおいしいです』という感想をいただきました」(紅葉店長)

ちなみに、『鯨ら〜麺』のターゲット層は?
「若い人に食べてもらいたいですね。『鯨肉は知らない』という世界なので。渋谷の若者に、できれば食べてもらいたいなって思ってます」(紅葉店長)

一日10食限定の、鯨肉を使ったスペシャルなラーメンです。
(寺西ジャジューカ)