1980年代、マイケル・ジョーダンの活躍とともに訪れた爆発的なブームを経て、今や世界中で老若男女あらゆる人に愛されるアイテムとなった「スニーカー」。シンプルなクラシックスニーカーから、最新の高機能スニーカーまで、今では様々なスニーカーがお店に並んでいます。今回はそんな「スニーカー」の歴史と魅力を、TOKYO FMの番組の中で専門家の方々に教えてもらいました。
(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」4月16日放送より)


大人気の「スニーカー」、いま選ぶならどのタイプ?



◆「カジュアルなファッションにはスニーカー!」
〜モデル 今井華さん


コンバースの「オールスター」は色違いや各国版をいくつも持っています。国によって形や素材が少しずつ違うんです。私はハイカット派なんですけど、靴紐をきつく縛らなければハイカットでも履くのは難しくありません。紐をゆるゆるにして、紐の左右を結ばずに玉結びで紐が抜けないようにするだけのときもあります。たまにはそれくらいグダグダな感じでスニーカーを履くのも悪くありません。

ファッション的に言えば、スニーカーはカジュアルに落とし込むキーアイテムのひとつ。もともとスニーカーが流行ったのは女の子のスカートスタイルを崩すアイテムとしてでした。それが今ではお洒落というキーワードの中ですっかり定着した感じです。もちろんヒールが好きでスニーカーを履かない女の子もいます。でも私はラフさやカジュアルさを出せるスニーカーの魅力に惹かれます。

コンバースのほかにも、プーマ、アディダス、リーボック、ヴァンズ、いろんなスニーカーを持っていますが、新品がカッコイイものもあれば、使い込んでよたったほうがカッコイイと思うスニーカーもあります。コンバースなら私は使い込んだほうが好きです。逆にファッションのスタイルによっては汚れのない真っ白なスニーカーがぴったり合うこともあるので、そこはファッションの好みやセンス次第でしょう。

だからスニーカーを選ぶにあたっては、普段どんな服を着てどんなところで遊んでいるか、ファッションスタイルやライフスタイルに合わせるのが一番だと思います。たとえばサーフィンをやっている人なら足首が見えるようなヴァンズのスニーカー。あまりファッションにこだわらない人なら、定番中の定番であるコンバースが良いのでは。色は黒が合わせやすいと思います。

こだわる人はアディダスの「スタンスミス」も、かかとの部分がスエードなのかスムースレザーなのかまでこだわります。お洒落は足もとからと言いますが、やっぱりお洒落だなと思う人がいたらパッと足もとを見てしまいますね。

◆「進化し続ける最新のスニーカー」
〜フリーライター/ランナーズパルス編集長 南井正弘さん


スニーカーは1年くらいでモデルチェンジします。普通は6〜7割くらい前のモデルの特徴を残しつつ、3割くらい変わる感じです。そうしないとそのシリーズを履き続けている人が戸惑ってしまいますから。ところがナイキは名前が同じでも大胆に変えます。たとえば「エアペガサス」は今32代目のモデルですが、2〜3代前とは全然形が違うんです。

ナイキといえば「エアマックス」が有名ですね。初代が出たのは1987年で、1995年のモデルが爆発的な人気になり、当時のハイテクスニーカーブームを牽引しました。エアマックスの特徴は靴底に空気の層があるためクッション性が高いこと。そしてそれが目に見えるようなデザインだったのでスニーカーファンの間で人気を博しました。

90年代のスニーカーブームの頃は各メーカーが高機能なモデルを開発していました。プーマなら「ディスク」という技術で、これは足の甲の部分にダイヤルがあって、靴紐を縛る代わりにそれをカチカチと回してシューズを足にフィットさせる仕組みです。これは今でも「イグナイトディスク」という最新モデルが生産されていて、ウサイン・ボルトがトレーニングで使用しています。

2000年頃にはナイキの「エアプレスト」が話題を呼びました。これは運動の後に足をリラックスさせるための靴なので、サイズがセンチメートルやインチではなくS・M・Lで表示されていたんです。伸縮性の高い素材を使っているのでそれでも大丈夫で、履き心地が良いということでものすごく人気になりました。最近も復刻されてけっこう売れています。

最新のランニングシューズならアディダスの「ウルトラブースト」が人気です。クッション性の良さもさることながらデザインが良く、ランニングから普段の街歩きまで幅広く使えます。同じくアディダスの「NMD」も人気ですね。こちらは80年代の名作の要素を最新の素材で詰め込んだモデルで、入手が困難なほどの人気ぶりです。

◆「スニーカーはどんどん履こう!」
〜デザイナー/ライター/エディター アクタガワタカトシさん


僕がスニーカーを作る場合、最初はデザインからですね。スニーカーは機能があるものが好きなので、その機能を実現するためのデザインであってほしいし、その機能性が伝わるデザインでもあってほしい。走るためのスニーカーだったら走れそうな感じが良いですよね。その上で美しかったり、欲しいと思わせるデザインを考えます。

スニーカーの履き心地を一番左右するのはミッドソールです。ここは衝撃を吸収しつつ、反発して次の運動に移れるようにする、クルマでいえばサスペンションにあたる部分。70年代に開発されたEVA(エチレン・ビニル・アセテート)は従来のスポンジよりも軽くて反発力が高く、今ではほとんどのスニーカーでどこかに使われています。さらに近年はEVAの成形技術がすごく進化して、自由な形にできるようになりました。

もうひとつ、ポリウレタンという素材もよく使われます。昔は自由な形に成形しようと思ったらこちらしかありませんでした。ポリウレタンは比重がEVAよりも重いものの、しっとりとした上質な履き心地を実現しやすいのが利点です。80年代にはニューバランスの「1300」というフラッグシップモデルが上手にポリウレタンを使って大絶賛されました。

ただ、ポリウレタンの最大の欠点は空気中の水分を吸って分解してしまうこと。日本のように湿度が高いと最初の性能を発揮できるのは5年間くらいで、10年もするとバラバラになってしまいます。ポリウレタンはソール以外にもけっこう使われるので、スニーカーは大事にとっておくよりも、どんどん履いてあげたほうが楽しめると思います。

1足買うなら、これから雨の多い季節なので、僕が企画とカラーリングをやった製品で恐縮ですが、コロンビアの「スタンプパス」はいかがででしょう。これはアウトドアを走ることをイメージしたスニーカーで、オムニテックという防水かつ透湿の素材を使っているので雨のシーズンはとても快適です。ぜひご検討下さい。

TOKYO FMの「ピートのふしぎなガレージ」は、《サーフィン》《俳句》《ラジコン》《釣り》《バーベキュー》などなど、さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介している番組。案内役は、街のはずれの洋館に住む宇宙人(!)のエヌ博士。彼のガレージをたまたま訪れた今どきの若者・新一クンと、その飼い猫のピートを時空を超える「便利カー」に乗せて、専門家による最新情報や、歴史に残るシーンを紹介します。

あなたの知的好奇心をくすぐる「ピートのふしぎなガレージ」。4月23日(土)の放送のテーマは《草野球》。お聴き逃しなく!

【あわせて読みたい】
★【漢字トリビア】「環」の成り立ち物語 (2016/4/22) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/WIokMaHUGi.html
★新婚生活「私は夫のコレにドン引きました」食事編(2016/4/21) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/utox4Jv2xW.html
★世界中のゴルファーが「マスターズ」に憧れる理由(2016/4/16) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/lfpdWZIMmW.html

<番組概要>
番組名:「ピートのふしぎなガレージ」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週土曜17:00〜17:50(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/garage