【漢字トリビア】「環」の成り立ち物語
「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「環境」「循環」の「環(カン)」。「たま・たまき」とも読む漢字です。今回は「環」に込められた物語を紹介します。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/c/e/cec28_1530_ef10e702720ec391325e2d9b3d195a9b.jpg)
「環」という字の向かって右側の部分は死者の姿を表し、上には、生命の象徴としての「目」が横にして描かれています。
左の「王」はもと「玉(タマ・ギョク)」。
死者の霊に力を添えるものとして襟元に置きました。
古代中国の死生観のひとつに、生も死も、自然の状態の変化に過ぎないという考え方があります。
どこからかやってきた魂は、死んだ肉体を離れ、いずれまたどこかの新しい肉体に宿る。
旅立とうとする魂に力を、邪悪を見分ける開かれた目を。
「環」という漢字は、死者を見送る人たちのそんな想いを反映したもの。
死者が生きかえることを願う儀礼を表しているといいます。
この儀礼のときに玉を使うことから「たま、たまき」の意味となり、円くめぐっている形から「かえる」という意味ももつようになりました。
今からおよそ三千年前の春の日のこと。
永遠の眠りについた母の横で涙をぬぐう少年に、父は静かに語りかけます。
母の魂は今、新たな力とよく見える目をたずさえて、旅に出る。
美しくさえずる小鳥、やさしい瞳をもつ野うさぎ、しなやかに泳ぐ川魚。
これからお前が出会うものたちの中に、母のいのちが宿るはず。
だから、生きているものすべてと語り合う術をもちなさい。
そうすればきっとまた、母の魂とめぐり会えるのだ、と。
ではここで、もう一度「環」という字を感じてみてください。
私たちをとりまく自然のすべてにいのちは宿り、たえずめぐり続けている。
だから、いのちあるものはみな等しく、尊重されるべきものなのだ。
この漢字には、いにしえの人たちのそんな死生観が反映されています。
他のいのちを軽んじることは、自分たちのいのちを危うくすることになる。
たまたま人間である自分に与えられたいのちを、自分たちのためだけに使うおろかさ。
悠久の時に育まれてきた地球の自然を、都合よく使い、変えてしまう傲慢さ。
「環」という字からは、そんな人間たちへの警告も聞こえてきます。
四月二十二日は、地球環境について考える日、アース・デー。
今一度、「環」という漢字のなりたちを、肝に銘じておきたい一日です。
漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。
*参考文献
『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
『絵で読む漢字のなりたち 白川静文字学への扉』(金子都美絵/太郎次郎社エディタス)
4月23日の放送では「遊」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。
【あわせて読みたい】
★結婚する気がないのに付き合うのはアリ? ナシ?(2016/4/21) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/We66qhHorh.html
★広瀬すずも参加 リスナーと考えた「18歳からの選挙権」(2016/4/19) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/c3ElltAmQd.html
★【漢字トリビア】「田」の成り立ち物語(2016/4/15) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/YFglGGVsdG.html
<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/c/e/cec28_1530_ef10e702720ec391325e2d9b3d195a9b.jpg)
「環」という字の向かって右側の部分は死者の姿を表し、上には、生命の象徴としての「目」が横にして描かれています。
死者の霊に力を添えるものとして襟元に置きました。
古代中国の死生観のひとつに、生も死も、自然の状態の変化に過ぎないという考え方があります。
どこからかやってきた魂は、死んだ肉体を離れ、いずれまたどこかの新しい肉体に宿る。
旅立とうとする魂に力を、邪悪を見分ける開かれた目を。
「環」という漢字は、死者を見送る人たちのそんな想いを反映したもの。
死者が生きかえることを願う儀礼を表しているといいます。
この儀礼のときに玉を使うことから「たま、たまき」の意味となり、円くめぐっている形から「かえる」という意味ももつようになりました。
今からおよそ三千年前の春の日のこと。
永遠の眠りについた母の横で涙をぬぐう少年に、父は静かに語りかけます。
母の魂は今、新たな力とよく見える目をたずさえて、旅に出る。
美しくさえずる小鳥、やさしい瞳をもつ野うさぎ、しなやかに泳ぐ川魚。
これからお前が出会うものたちの中に、母のいのちが宿るはず。
だから、生きているものすべてと語り合う術をもちなさい。
そうすればきっとまた、母の魂とめぐり会えるのだ、と。
ではここで、もう一度「環」という字を感じてみてください。
私たちをとりまく自然のすべてにいのちは宿り、たえずめぐり続けている。
だから、いのちあるものはみな等しく、尊重されるべきものなのだ。
この漢字には、いにしえの人たちのそんな死生観が反映されています。
他のいのちを軽んじることは、自分たちのいのちを危うくすることになる。
たまたま人間である自分に与えられたいのちを、自分たちのためだけに使うおろかさ。
悠久の時に育まれてきた地球の自然を、都合よく使い、変えてしまう傲慢さ。
「環」という字からは、そんな人間たちへの警告も聞こえてきます。
四月二十二日は、地球環境について考える日、アース・デー。
今一度、「環」という漢字のなりたちを、肝に銘じておきたい一日です。
漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。
*参考文献
『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
『絵で読む漢字のなりたち 白川静文字学への扉』(金子都美絵/太郎次郎社エディタス)
4月23日の放送では「遊」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。
【あわせて読みたい】
★結婚する気がないのに付き合うのはアリ? ナシ?(2016/4/21) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/We66qhHorh.html
★広瀬すずも参加 リスナーと考えた「18歳からの選挙権」(2016/4/19) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/c3ElltAmQd.html
★【漢字トリビア】「田」の成り立ち物語(2016/4/15) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/YFglGGVsdG.html
<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/