マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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通算2940安打でメジャー3000安打に60本としたイチロー

 マーリンズイチロー外野手が19日(日本時間20日)の本拠地ナショナルズ戦で途中出場し、三塁内野安打を放った。これで今季5本目のヒットでメジャー通算2940本とし、3000安打まで残り60本とした。この日の打席では当初、相手三塁手のエラーと判定され、その後、記録が訂正となる場面も。これには地元メディアの解説者が「不公平だ!」と憤るなど、ヒットと訂正されるまで議論を呼んだ。

 7点差をつけられたマーリンズは8回の守備からゴードン、イエリッチ、スタントンを交代させ、イチローは「4番・ライト」で途中出場。9回1死一塁の場面で打席に立つと、抑え右腕ケリーの初球の89マイル(約143キロ)の速球を三塁線に打ち返した。快足を飛ばして一、二塁とチャンスを広げたイチローに、試合を中継した地元テレビ局「FOXスポーツ・フロリダ」の実況も興奮気味にレポート。「サード方向に打った。彼の勝ちです。私の読みではヒットです。持ち前のスピードですぐさま一塁に加速しました。レンドンはバックハンドで捕球を試みました」と伝え、42歳にして衰えを見せないスピードを絶賛した。

 この日解説を務めた元阪神のエドゥワルド・ペレス氏も「ペリー・ヒル(一塁コーチ)は言っていました。“ボールを叩いた瞬間に、突進せよ、と”。それがここで実践されたわけです。とても難しい打球の角度でした。これはヒットですね」と同調したが、判定が三塁のエラーと発表されると突如、声のトーンを変え、「エラーですか? 厳しい判定です。レンドンはノーチャンスでしたが」と疑問を投げかけた。

 実況は「E5(三塁のエラー)ということです。イチローは3000本安打を目指すなら、こういうタイプの打球は絶対に生かさなければいけないところです」と状況を説明すると、エドゥワルド氏は優しい口調ながら「これは不公平です。間違いでしょう」と憤り、イチローに対する判定は誤審だと譲らなかった。

米解説者「私は少し怒っています」

 実況は「記録員は今ビデオを見ているとことでしょう。異議申し立ての手順があります。チームはMLBを通じて行うことになります。義務ではありませんが」とマーリンズ側のプロセスを説明したが、ペレス氏は全く収まる気配を見せなかった。

「これは変更されるでしょう。エラーにすべきではない。捕球の難易度というものを理解すべきです。あれは三塁ベース寄りのバックハンドの捕球でした。レンドンには言い訳の余地はありませんが、アウトにするのは困難なプレーでした。イチローにはスピードもある。急がなければいけない。焦ってしまう。イチローはすでに打席から飛び出しているのです。私は少し怒っています」

 同氏は直後にゲームセットとなるまでヒットと主張し続けた。この失策には番記者も異論を表明。マイアミ・ヘラルド紙のスタンレー・クラーク記者はツイッターで「記録員はレンドンのエラーをつけた。だから、イチローのヒットではなくなったが、この決定がこのまま通るか、興味深いところ」とレポート。そんな議論が沸き起こる中、試合終了後にヒットと訂正となった。本拠地で0-7の惨敗により盛り上がりの少なかったこの日のマーリンズイチローは期せずして最後に“見所”を作り、3000安打まで残り60本とした。

 イチローは今季ここまで8試合の出場で11打数5安打、打率.455。メジャー最年長野手は限られた出場時間で抜群の働きを見せている。