中国人も心配している熊本地震を野党議員は… (C)孫向文/大洋図書

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 こんにちは、中国人漫画家孫向文です。2016年4月14日、熊本県内を震源地とするマグニチュード6.5、最大震度7の地震が発生しました。その後も大規模な地震が立て続けに発生し、熊本県をはじめとする九州各地に多大な被害を及ぼしています。

■中国人は日本側の対応を称賛?

 この地震の情報は中国にもただちに伝わり、地震発生当日は中国国内に住む母親から僕を心配する電話連絡があったほどです。2011年の東日本大震災当時は尖閣諸島問題で日中間が対立していたこともあり、中国国内のネット上には「地震おめでとう!」、「これは天罰だ!」といった不謹慎な意見が多く寄せられていたのですが、今回はただちに自衛隊の派遣を決定するといった政府側の迅速な対策、正確な情報を発信し続ける報道体制、冷静に行動する一般市民など、日本側の対応を称賛する声が数多く寄せられていました。

 また、地震が立て続けに発生しているにも関わらず崩壊しない日本の最新建築物を賞賛する声も寄せられていました。2008年の四川地震の例を見ればわかるように、もし中国国内で今回のような事態が発生したとすれば、建築物は次々と崩壊し被害ははるかに甚大なものになるでしょう。僕自身もTwitterに真っ二つになっても崩壊しない熊本県内のマンションの写真をアップし、「中国(の建造物)なら豆腐になっちゃう」と書き込んだほどです。

 そして熊本県のご当地キャラクター「くまモン」は、中国でも絶大な人気を誇っており、中国国内のSNSには人命の他に「俺はくまモンのために祈る!」など、くまモンを心配する書き込みも見られました。

 このように日本を応援する声が寄せられる一方、反日的な層からは「韓国と一緒に祝おう!」、「九州にいる中国人だけが助かりますように」、「マグニチュード10希望!」「震源地が間違っている、次は靖国神社が地震で潰れろ!」といった書き込みが寄せられていました。

 また中国のショッピングサイトを閲覧すると、「日本の地震記念」、「余震があるたびに割引します」などと称し、自動車やバーベキュー用品、スピーカーのセールが行われていました。このような反日による歪んだ愛国心を僕は心から嫌悪します。

 しかし面子を重んじる中国人の傾向からか「書き込みの内容はその人物の品格を表す!」、「普段は日本で爆買いやお花見を楽しんでいるくせに地震の時は罵詈雑言を繰り返す。こんな奴は中国人の恥だ!」とそのような傾向を批判する声も寄せられています。

 今回の地震に対して迅速な対応を行った自民党政権に比べ、野党側の対応には大きな疑問を感じました。地震発生直後、社民党の福島みずほ議員が安保改正反対団体「ママの会」の参加者たちと記念撮影を行った写真をTwitterにアップしました。

 しかも写真には「カラフルで、パワーがあって、幸せオーラと優しさに満ちていてハッピー!」などと能天気な言葉が添えられており、当然、酷評が殺到しました。福島議員はその後、被災者を慰労する言葉を書き込みましたが、それは批判対策のために場当たり的に行ったものではないでしょうか。

 また、民進党の公式Twitterに「東日本大震災時の自民党のような対応を望みます」という書き込みが寄せられた際、「それじゃあダメでしょうね」という反論が民進党側から寄せられました。その後、当時の自民党側の対応を肯定するする書き込みが寄せられると、民進党側は「多くの議員が与野党なく災害対応に協力した中で、一部の自民党の有力議員が原発対応についてデマを流して政権の足を引っ張ったのも有名な話です」と、自民党を一方的に批判する書き込みを行ったのです。今回の書き込みを誰が行ったか不明ですが、批判が殺到したことにより民進党は公式に謝罪しました。

 さらに日本共産党が被災地支援名義で集めた募金を、同党に所属する議員が選挙資金用に使用する意向であるとTwitter上で発表しました。各方面からの批判を受け、現在は議員の書き込みは削除されています。これらの例を見ると、野党議員たちは災害対策よりも自分たちの主義主張を重要視しているように思えます。

 それにくわえ、鹿児島県の川内原発が稼働していることに対して、ネット上では主に左派・リベラル層の人々が次々と、「九州で原発を動かしてはなりません」、「いますぐ原発止めるしかない」などと原発稼働停止を訴えました。おそらく東日本大震災時の福島第一原発事故の再来を不安視しているのでしょうが、当時の事故は巨大津波によって引き起こされたものであり、地震による被害ではありません。それに地震によりインフラが断絶している現在、急に原発稼働を停止してしまったら、動力や発電用の電力がさらに不足し損害が拡大するかもしれません。被災地の現状を無視して原発停止を連呼する左派・リベラル層の様子を見ると、彼らは「問題が発生するから」現政権を批判するのではなく、現政権を批判するために「問題を利用している」とすら僕は思うのです。
 
 救護に駆けつける自衛隊員たちの勇姿、隣人に井戸水を提供するなど災害の最中でもパニック状態にならず互いに助け合う人々の姿を見て、僕は改めて現政権のレベルの高さ、日本人たちの民度の高さを実感しました。そして被災者を心配する中国の人々の声に僕は希望を感じました。共産党政権が退陣し中国が民主化した時、日中両国はかけがえのない友好関係を結べるかもしれません。

著者プロフィール


漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)