病気をネタにすることに非難の声も(写真はイメージです)

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 お笑いコンビ・はんにゃの川島章良が4月4日、バラエティ番組「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系)の「健康管理を甘くみた先生SP」に登場し、2014年11月に腎臓ガンが発覚したことを告白した。“不幸便乗”とも思えるガンの告白に、応援や共感のメッセージのみならず非難も出ている。

■狙いは”ガン保険”のCMゲット?

 心肺停止までした過去を語った松村邦洋に続いて、同番組に登場したはんにゃ。2009年にお笑い界のネタブームに乗る形でブレイクするも、2010年に「マジで笑えない芸人1位」に選出されるなど人気が急降下。そんな二人は自分たちのことを「大学生レベルなのに芸人になっちゃった先生」とあけすけに紹介し、“実力不足に気づかずに大恥をかかないための授業”を約1時間にわたって展開した。

 番組後半には川島が、32歳で腎臓ガンが発覚し、2014年末に摘出手術のために入院したことを告白。発覚当時、付き合っていた結婚間近の彼女が妊娠していたことなどもあり、番組出演者や視聴者の共感を誘った。しかし一部ファンから「ガン保険のCMゲット」「本業で仕事してみろよ」と皮肉も相次いでいる。

 渡辺謙も今年2月、人間ドックでガンが見つかって「早々に手術しました」とツイッターで明かした。ハリウッドでも活躍する実力派俳優の突然の告白に、その際は驚きや安堵の声が広がっているが、批判は目立たなかった。

「渡辺さんの場合はSNSで報告しただけで、ガンをネタに稼いだわけではありません。だからこそ、がん啓発の一環としても捉えられたのではないでしょうか。一方、はんにゃ川島さんは人気番組で告白して脚光を浴びました。ガンで苦しむ患者さんは大勢います。なかには回復が困難な方もいらっしゃる中、ネタにしたことに反感を覚える方がいらっしゃったのでは」(報道関係者)

 不幸便乗の話題作りは、過去にも多数ある。対象者は批判の対象になりやすいが、それは必ずしも著名人ばかりとは限らない。

 “ゲス芸人”として知られるウーマンラッシュアワーの村本大輔は、2月8日放送のラジオ番組「ウーマンラッシュアワー村本大輔のオールナイトニッポン」で「ファンやからイイ奴がいるわけじゃない」と切り出してニューヨークへ行ったときのことを回想。現地で朝ごはんを食べたことをツイートしたとき、フォロワーの一人が同市のダウンタウン地区で事故が起きたことを心配して「大丈夫ですか?」と村本に呼びかけたという。

 村本は、ツイートした内容が朝ごはんの紹介だったため、このユーザーの行動を疑問視。「メチャクチャ怖い話」と評し、「自分を売り込むために人が亡くなったニュースをネタにする異常な精神」とダメ出しした。

「はんにゃの例も含め、著名人にしろ一般人にしろ、非難される場合はアクションの仕方に多少なり問題があるのかもしれません。東北大震災で物資を届けた江頭2:50は、のちに関係者の声が広まって事実が知れ渡り、喝采を浴びました。同じく震災でロンドンブーツ1号2号の田村淳は、“便乗による話題作り”と言われる覚悟で支援物資の配布に動きましたが、最終的にはネットユーザーにも受け入れられている様子です。どんなアクションを相手に望むのか、不特定多数の人間に自分がどう見られたいのか。本人たちの姿勢が問われますね」(同上)

 どんなアクションを取れば非難を浴びるのか。判断がやや難しいが、虚栄心まる出しはアウト、というところだろうか。

文・海保真一(かいほ・しんいち)※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。週刊誌で執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。