写真はフジテレビHPより

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 かつては「前日」「ゴールデン」「プライム」の時間帯で年間視聴率1位を獲得して、「視聴率3冠王」を我がものにしてきたフジテレビ。だが、「テレビ冬の時代」到来とともに、凄まじい凋落ぶりを見せている。

局アナまで”フジテレビ凋落”を痛感する異常事態

 その発端は、露骨な”韓流ゴリ押し”だった。視聴者は韓流ドラマの垂れ流しにうんざり。さらに2011年、俳優の高岡奏輔が「フジは韓流番組が多いから見ていない」と発言してフジから干された事件について、ナインティナイン・岡村隆史がラジオで「嫌なら見なけりゃいいのよ、それだけ」と発言。これがフジテレビの総意としてとられてしまった。この「嫌なら見るな」発言をきっかけに、フジを見ない層が増加。嫌いなテレビ局ダントツ1位に輝くことになる。

 この流れは今もなお続いており、局内の関係者も危機感を持っている。佐々木恭子アナ(43)は6月放送の番組『ボクらの時代』(フジテレビ系)に出演して「積極的に嫌われている感じはある」と発言。同番組で共演した中村仁美アナ(36)も、

「内容というよりも、局のイメージとしてチャンネル合わせなくなっているのかな」

 と話し、視聴者から嫌われているテレビ局を自覚しているようだ。

 フジが嫌われる原因となった韓流ゴリ押しは、一時と比べて収まってきた。局内での自覚もあることから、ようやく、視聴者の信頼を取り戻しにかかったかと思いきや、2015年11月、フジは意外な動きを見せる。

上海メディアグループとパートナーシップ提携

 中国の大手メディアである上海メディアグループ傘下のSMGピクチャーズと手を組み、フジテレビのかつてのヒットドラマのリメイク権を販売し、共同制作を行うパートナーシップ提携を発表。これまで、番組やリメイク権のみを販売することはあったが、今回は共同制作まで行う。これは、本格的に中国での番組制作にフジが乗り出したことになる。

 この動きにネットでは、

「フジがお金を積まれて抗日ドラマを作る姿が目に浮かぶ」
「韓国がダメなら中国。さすが売国メディア」

 と、批判を通り越して、あきれられている。

 フジテレビジョン国際開発局事業開発部の企画担当部長・藤沼聡氏は、

「中国ではテレビドラマの映画化はもちろん、バラエティ番組もテレビ版を拡大したような内容で映画化されるケースがある。人口が日本の10倍以上あるので、映画化してヒットすれば大きな利益が見込める」

 と語っているが、テレビやバラエティの映画化は、まさに今まで培ってきたフジの手法そのもの。日本ではもう見込みがないので、中国で展開しようという目論みだ。

制作ノウハウや技術、人材流出の危険性も

 だが、番組制作に関わる関係者は非常に危険だと語っている。

「制作現場の優秀な人材が一時的ではあるものの流出してしまうので、国内の現場がさらにパワーダウンすることは否めません、それに、相手はパクリ大国・中国。今まで培ったノウハウや技術を盗まれて、利益を得るどころか使い捨てされる可能性は大いにあります」

 国内からまるで逃避するかのように、中国に目を向けたフジ。グローバル化するビジネスの中で、世界展開は正しい方向かもしれないが、そこに活路を見出すのは、厳しいかもしれない。

(文/タナカアツシ)