第2子以降の「児童扶養手当」増額へ…求められる「子どもの貧困」への対策とは

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母子・父子家庭に支給される「児童扶養手当」について、政府が来年度から第2子以降の加算を増額する方向で調整を進めていることが報じられています。これは、現在は月5000円の第2子分を1万円に、各3000円の第3子以降分を6000円に倍増する内容で、政府はこの支給額増加を、年末にまとめる「子どもの貧困への支援策」の目玉とする考えとのことです。

増額を求める署名活動も


所得が一定以下の1人親の家庭が対象となる児童扶養手当は、現行の制度では子どもが1人いる場合は月額最大4万2000円が支給され、2人目は5000円、3人目以降はそれぞれ3000円が加算される仕組みとなっています。

しかし、シングルマザーなど1人親の家庭の貧困が問題となっている現状に対して、月5000円・月3000円という子ども1人あたりの加算金額は少なすぎるという指摘もあり、増額を求める署名活動もおこなわれていました。

この署名活動を展開している「ひとり親を救え!プロジェクト」によると、国内における「子どものいる世帯」の平均年収が658万円なのに対して、「母子家庭の平均就労年収」は181万円。この数字には、シングルマザーがアルバイトやパートをかけもちして働いても暮らしがラクにならない実態が現れており、こうした事情が先進国のなかでも最悪といわれる54.6%もの「日本のひとり親家庭の子どもの貧困率」につながっているといえます(出典:平成21年度全国母子世帯調査結果報告)。

あらゆる世代に蔓延する貧困問題


また、こうした貧困の問題は母子家庭に限ったことではなく、若い世代では大学時代の奨学金を返済できなかったり、真面目に働いても生活がラクにならない非正規雇用やワーキングプアなどの問題があり、高齢者では定年をきっかけに低所得・孤立といった貧困状態におちいる人の増加が問題となっています。

ほかにも、国内にはさまざまな年齢・立場の人々において貧困にまつわる問題が存在しており、いまや日本の社会全体に蔓延しているといえる状況です。これらの貧困問題については、国や行政による制度の見直しや支援など、さまざまな角度からの対策と、当事者がそれらを利用しやすい環境づくりが不可欠であり、冒頭に述べたような手当や補助、助成金については広報や周知の徹底も必要といえるでしょう。

「一億総活躍社会」を掲げる政府は、出生率の増加を目指し、児童扶養手当の増額のほかにも、不妊治療への助成を拡充したり、幼児教育の無償化を検討するなどの対策を打ち出しています。

こうした子どもを産み・育てるための経済的な支援はもちろん重要ですが、これから生まれてくる子どもたちに対して、私たちが「どのような社会を残せるのか?」ということもとても重要な課題です。

社会に蔓延する貧困の問題が改善され、子育てをする親はもちろんのこと、成長していく子どもたちがすこしでも暮らしやすい社会が実現するような政策を政府には望みたいものですね。

<参考>

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151215/k10010341281000.html
(児童扶養手当 第2子以降の加算 増額の方向で調整 NHKニュース)

http://mocosuku.com/201412246156/?type=prev
(もらえるお金、申請し忘れてない?子育て世帯は必読 Mocosuku)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/0000039732.pdf
(不妊治療への助成について 厚生労働省)
http://save-singleparent.jp/
(ひとり親を救え!プロジェクト)