嫁を蔵に閉じ込める萬田久子怖い「あさが来た」18話

写真拡大

朝ドラ「あさが来た」NHK 月〜土 朝8時〜)10月17日(土)放送。第3週「新選組参上!」第18話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一


18話は、こんな話


ようやくあさ(波瑠)と新次郎(玉木宏)が、毎晩一緒に過ごすようになって
周囲もホッとしたが、じつは、あさは新次郎の協力を得て、家の貸付高の整理をしていた。その結果、貸したお金がかなり返済されていないことが判明するが、義父・正吉(近藤正臣)は長い信頼関係で成り立っているのだから、簡単に催促できないと言う。

第3週は、2組の新婚生活のお話


第3週は、大政奉還が行われ、時代が変っていくなか、大阪の商家に嫁入りしたあさとはつ(宮崎あおい/崎の大は立)の姉妹が、かたや家に馴染み、かたや気苦労を背負う様子を描いた。
3週の最後は、いよいよもって可哀想なはつの姿で締める。
姑・菊(萬田久子)に蔵に閉じ込められてしまうはつ。そのわけが、勝手に外に出ようとするからという理不尽きわまりないもの。登場人物が自らどこかに閉じこもるのは朝ドラあるあるだが、悪意で閉じ込められるのはちょっと慣れない。
妹が訪ねてきたのだから、会わせてあげていいではないか。梨江(寺島しのぶ)が訪ねて家の事情を探っているふうだったのがよっぽど気にかかっているのか。それだけ、山王寺屋は危機に瀕しているのだろうか。新次郎が、山王寺屋について心配していたことからも、何かありそうな気がしてしまう。
とはいえ、萬田久子の演じる菊、こわすぎる。「あさが来た」のガイド本(NHK出版)のインタビューで、萬田が「はつのことだって、いい嫁が来てくれたと喜んでいるんです」と発言していて、びっくりぽん(決め台詞、使ってみました)。まじか。
はつは蔵のなかから、菊のそばに惣兵衛(柄本佑)がいる気配を感じて、助けを求める。その声に柄本祐がつらそうに目を俯き、はつは去って行く夫の足音を聞いて絶望する。声や音に反応するふたりの表情の安定感よ。

じゃじゃ馬馴らし


あさは、なんでそんなに(家のことに)一生懸命になるのか、と思う新次郎。
新次郎は、なんでそんなに(家のことに)一生懸命ではないふりをするのか、と思うあさ。
あさと新次郎はなんだかんだでうまくいっている。
しっかり者の妻と、彼女に敵わんなあという感じで主に手助けする夫という関係性はわりにあって、不思議と関西弁はそういう旦那さまにしっくりくるもの。
あさは、小耳にはさんだ、世の中が変わっていくらしいという情報を信じて行動し、正吉に進言するが、彼女の浅はかさをやんわりとがめられてしまう。でもそれに本気でナットクしていないことを見抜き、あとであさに注意する新次郎。うまくじゃじゃ馬を乗りこなしている。
あさがいまだに大事に使っている、新次郎からもらった子供用のパチパチはんが、あさの人生を決めたと言ってもよさそうで、新次郎の人心掌握術はかなりのものと思われる。

ロマンチックだったのは17話のみで、あとはひたすらじゃじゃ馬と優男(お稽古に出かけていくときの歩き方がいかにも大阪の優男な感じで玉木宏の描写力に感心)の経済ドラマなのだろうか。気になりながら第4週へ。
(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから