高崎山自然動物園ホームページより

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 大分市の高崎山自然動物園の赤ちゃんザル「シャーロット」。結局名前は変更しないことになった。大分市が英国大使館に見解を尋ねたところ、「コメントする立場にない」との回答だったという。英王室広報も「付け方は自由」と発表した。

英王室には大衆の願望に応えてみせる「職務意識」がある?

 私が興味深かったのは、そもそも今回の英王室の王女の命名である。

 大手ブックメーカーの人気予想どおりにシャーロットで決着。しかもフルネームは「シャーロット・エリザベス・ダイアナ」。これラーメンで言ったら「全部のせ」ではないか。多くの国民はグッときたに違いない。ハッピーな気持ちになっただろう。

 何を言いたいかと言うと、たぶん英王室には大衆の願望に応えてみせるという「職務意識」があるのだろうな、ということだ。「我々がみんなに喜んでもらうこと・話題になること」が重要な役割のひとつだと思っているフシがある。

 だからどこかの外国の動物園に名前を拝借されることぐらい想定内だろう。だって「みんな私たちを見ている」という自覚があるからだ。もしかしたらイギリス人の日本人に対する視線も似たようなものかもしれない。

 さて動物園に「英王室に失礼だ」「日本の皇族にちなんだ名前が付けられたらどう思うのか」などの抗議を寄せた人々。おそらく彼・彼女たちは、別の違う案件では「遺族の気持ちを考えろ」とか「遺族に謝れ」とか、せっせと当事者にかわってクレームを入れてくださっているのだと思う。そんな人々にもっと大事なことを教えたい。

 それは「同じ誕生日 ベッカム氏大喜び」という日刊スポーツの記事が教えてくれた(5月4日)。記事ではベッカムの他にシャーロット王女と同じ誕生日の人として、「夏木マリ」「秋元康」「武蔵川親方」「スペシャルウィーク(日本ダービー馬)」を紹介していたのだが、もうひとり「上重聡アナ(日テレ)」がいたのだ。

 よりによってスキャンダルの渦中にある上重アナがシャーロット王女と同じ誕生日なんて英王室に失礼だ。金づかいが荒らくなったらどうする。国民に嫌われたらどうする。不吉だ。

「上重、お前、誕生日ずらせ!」

 以上、理不尽なクレームを実演してみました。

著者プロフィール

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)。