パンダを観察しながら、動物解説員の話しに耳を傾けるツアー参加者。(提供:上野動物園)
大人だけでじっくり動物を観察してもらおうと、東京都台東区の恩賜上野動物園(小宮輝之園長)は29日から、動物解説員と一緒に動物園を巡る「上野動物園の歩き方」講座を開催する。一般の人が見過ごしてしまう動物に対する様々な「視点」を解説員が取り上げ、参加者自身の目で動物たちの不思議を発見してもらおうというもの。30日まで。

 同動物園でガイドツアーなどを行う動物解説員の小泉祐里さんは「一般の人は、動物を見ているようで、実は見ていないことが多いのです」と話す。小泉さんによると、来園者のほとんどは、知っている動物の「確認」にやってくるという。立て髪のオスライオンや長い首のキリンなどを見つけると、記念写真を撮るように「ここに来た」という思い出の判を押し、2─3分で次の動物へ移動してしまう。

 実際に、象のしっぽの形を問われて、正確に描ける人は少ない。小泉さんは「ハエ叩きのような平たい形に毛が生えている象のしっぽは、身体にままとわりつくような虫を追い払うのにまさに機能的です」と説明する。また、象のしっぽに興味を持った人は、他の動物を観察するときに、自然としっぽに目が届き、比較することでその形や機能を考えるという好奇心や創造力を身につけるという。

 1997年から毎年1─2回行われているこの講座は、毎年約7倍の応募数が寄せられるほどの人気で、今回の講座では10種類以上の動物をじっくり観察できる。一方、通常のガイドツアー(45分)でも、同様な「視点」を採り上げ、「動物たちの食べるもの」「オスとメスの不思議」などのテーマで行われていることは、あまり知られていない。午前のツアーに参加した人が、午後のツアーに参加するということも少なくないという。

 同ツアー参加には、往復はがきによる申し込みが必要(11月14日消印有効)。詳細については、関連リンクの「東京都の動物園&水族園」で参照。【了】

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