イビチャ・オシム新監督率いるサッカー日本代表が2006年8月9日の「トリニタード・トバゴ戦」で始動する。試合前日の記者会見で、オシム監督が「敗北は最良の教師」と発言したことが、ネット上で波紋を広げている。発言のウラには、目先の勝利を求めすぎるマスコミへの批判がこめられている、というのだ。

   オシム監督は06年8月8日の記者会見で、「勝つことと同時に分析も大事。(中略)勝つとかえって大事なことを見落とすことがあるが、負けて内容がいいということもある。『敗北は最良の教師』という言葉がある」などと発言し、勝敗よりも試合内容にこだわる姿勢を示した。

ネット上では「負けてもいい」発言に冷ややかな反応
SNSのmixiでは、オシム監督に関連するコミュニティが多数ある
SNSのmixiでは、オシム監督に関連するコミュニティが多数ある

   この発言をスポーツ各紙は、大きく取り上げた。スポーツ報知は「注目の就任初戦。勝ち負けより大事なことがある」と評し、サンケイスポーツも「長期スパンを考えた上での選手に対するメッセージ」と前置きし、「内容が伴わない1勝より、敗戦で課題が明確になる方がいい」と評した。オシム監督の発言に好意的だ。
   スポーツニッポン日刊スポーツも含め、スポーツ各紙は「負けても将来につながればいい」ともとれる評価をしている。

   しかし、対照的にネット上ではオシム監督の「負けてもいい」発言に冷ややかな反応を示している。   2ちゃんねるでは、

「やる前から、負けて得るものがあるとか勝って当たり前と思ってる人は、その考えを捨てて欲しいとかなんか言い訳が多すぎてウザイ」
「負けたらまけたでまたオシム語録でカバーできると思ってるから勝敗なんてどうでもいいんだと思う」
オシムのインタつまんない。言葉尻とらえてばっか。年中揚げ足取りと嫌味ばっか言ってるの?この爺さん」

   と、冷ややかだ。そして、そんなオシム監督の「知将」のイメージを強化することに違和感を感じるというカキコミも多数ある。

ラッキーゴールの1-0で勝って騒ぐマスコミをけん制

   SNSのmixiでも、多くの人が日記などで取り上げている。なかでも目立つのが、オシム監督の発言は、日本代表の勝ち負けで一喜一憂をあおるマスコミ批判だったという見方だ。

「現時点では、負けることで至らない部分や、必要なものが 見えてくるだろうから、負けるほうが収穫が大きい。漫然とラッキーゴールの1-0で勝って騒ぐマスコミにけん制したんでしょう。」
「敗戦による現状の分析、今後の課題が見えてくるというわけだ。どうもマスコミ、ファン(サポーターとは言わない)は目先の勝利に一喜一憂してしまうが、この時期に完璧な勝利を求めるのはちょっとね〜?」

   これまでの日本代表はあまりに目先の勝利を求め、その結果を過大評価したために、結局は世界で通用しないチームになってしまった。そんな冷ややかな感情がサッカーファンのなかにはある。オシム監督の「負けてもいい」発言を、「マスコミへのけん制」だと見るmixiの日記も、「またオシム語録かよ」と思う2ちゃんねるのカキコミも、過大評価をあおったマスコミへの冷えきった感情が書かせた、といってもおかしくないようだ。