世の中、色んな愛の形があるものです。恋するブラや天使のブラでおなじみのトリンプ・インターナショナル・ジャパンがある一つの愛の形を提案しました。

 2002年、世界的な禁煙運動の高まりを受け、トリンプでは禁煙奨励制度を導入しました。この制度は人事部へ正式な手続きを踏み、禁煙を宣言した社員の家族には、3万円の報奨金が支給されるというもの。

 「あら、素敵な愛の形じゃない」なんて思った喫煙者のみなさん、ここからが本当の愛なのです。

 この制度の一番の特徴はなんと言っても「愛の密告」という制度。社内・外にかかわらず、禁煙宣言者の喫煙現場を見かけた他の社員が、人事部に「愛の密告」をした場合も、「同僚社員の健康管理に貢献した」との評価により、協力金1万円が支給されるのです。

 まさに、愛のムチとはこのこと。しかも1万円もらえるなんて・・・。

 「愛の密告」を取り入れた経緯をトリンプの方に聞いてみたところ、「どうせやるのであれば、ゲーム感覚でやりましょうというオープンでユニークな社風によります」とのこと。

 禁煙に挫折してしまった社員には厳しいペナルティーも。禁煙宣言時に支給された、報奨金の倍額にあたる6万円までを、自主的に返納しなければなりません。

 こりゃあ、タバコなんか吸えませんな。喫煙者にとってはとても厳しい制度ですね。

 こんなに厳しい禁煙奨励制度、喫煙者の反応はよくなかったのでは?

 「いずれはやめようと思っていたので、いいきっかけになったという声が多かったです」というお答えが返ってきました。誰しも禁煙を一度は考えるはず、それでお金ももらえるんだから、いいきっかけになるのかもしれませんね。

 この制度が導入されてから、「愛の密告」を受けた人も、挫折してしまった人もおらず。全員が禁煙を続けているトリンプ、喫煙社員ゼロの会社になりました。それに加えて、導入時の2002年は売り上げ目標をしっかり達成し、その後、業績も好調なんだとか。

 確かに厳しい禁煙だけど、見返りである報奨金は喫煙者にとっても魅力的なもの。まさにアメとムチをうまく使い分けたユニークな制度ですね。(文/verb)