先のロンドン五輪、男子レスリング・フリースタイル66キロ級で、見事金メダルを獲得した米満達弘。1988年のソウル五輪で途絶えた24年ぶりの“金”を男子レスリングにもたらした26歳が、胸に秘めた想いを語った。

24日、テレビ朝日「報道ステーション」では、「日本24年ぶり悲願へ 米満達弘“重圧”と“教訓”」と題し、米満に行ったインタビューの模様を放送した。

「人間っていうのは、プレッシャーがないと行動ができない。大きなことがやらかせない。なので、プレッシャーっていうのは大切なもの。苦しいんですけどね」と切り出した米満だが、「決勝戦がもの凄く苦手なんです」と意外な告白も――。

米満は、昨年の世界選手権・決勝で敗北を喫しており、この時を振り返って、「準決勝に勝つと絶対にメダルは貰えるんですよ。銀か金か。お土産を持って帰れるのか、満足した自分が居た」と明かす。

以後、「金メダルを獲る」と言い続けるようになった米満は、「“金メダルを獲ります”って公言することによって、自分にプレッシャーをかける。もの凄い自分は弱い人間なので。弱いですね、心が。やらざるを得ない状況を作らないと、身体が動いてくれないんですよね。マスコミの人たちの前で“金メダルを絶対獲ります”って言ったときに、心の中では“大胆なことを言ってしまった”って、言った瞬間に自分にプレッシャーがかかってしまった。でも、練習とかもやらなきゃいけないって気持ちになる」と、その理由を説明した。

さらに、米満はある意識をしてロンドン五輪に臨んでいたことを明かす。「決勝で負けているときは、準決勝でガッツポーズをしていた。あれでもの凄い気が抜ける。緊張の糸が途切れる。準決勝で勝っても、全くではないですけどガッツポーズは(しないように)。意識しましたね」と話し、「アレを見た瞬間、今回は決勝もいけるかもしれない」と続けた。

米満が言う“アレ”とは、ロンドン五輪の準決勝で勝利したインドのクマールが試合後に観客席に雪崩れ込んで大喜びをしていたシーンだ。「(決勝で対戦する)相手は満足してしまった。まさしく去年の自分を見ているよう」と振り返ると、「誰でも、自分みたいに心が弱い人間でも、夢は叶う」と静かに語った。