中国新聞社など中国メディアは3日、フィリピンのメディアを引用して、同国政府運輸省高官が、中国がフィリピン国内における鉄道建設について融資している5億ドル(約392億円)の即時返済を求めている件について、フィリピン政府は国際司法裁判所による仲裁を求める考えであることを報じた。

 フィリピンはアロヨ政権期(2001年1月−2010年6月)に同国北部の高速鉄道建設を具体化。資金5億ドルは中国進出口銀行(中国輸出入銀行)が融資した。現アキノ政権になりフィリピンは、入札関連で汚職があったなどとして、同鉄道プロジェクトを再検討することを決めた。

 フィリピン側によると、2012年になり同国と中国の間でスカボロ礁(中沙諸島黄岩島)を巡る領有権問題が激化すると、中国側は5億ドルの即時返還を求めてきたという。

 フィリピン政府高官は、国際司法裁判所の仲介に従って資金の返済などを行う考えを示し「法律(国際法)の定めに従って問題を解決し、中国側との相互妥協を得たい」、「争いを終息させたい。われわれは、自己の責務を果たす。新たなスタートを切りたい」と述べた。

 同高官は、中国側の動きにより鉄道建設計画は「完全に終止符を打った」との考えを示した上で、「ただし、(鉄道建設の中止は)フィリピン政府が汚職に関連した者を起訴しないことを意味するのではない」と述べた。(編集担当:如月隼人)