【元気東北・青森編】一度見たら忘れない、ブサかわ犬が日本を元気にする
『わさお』
白神山地の麓にある小さな漁師町でライオンのような白い犬を見たという噂が相次いでいた。素っ気なく、どこか愛らしいその犬は、町の人々を見守るようにひっそり現れてはすぐに姿を消してしまう。ある日、海辺で焼きイカ屋を営む菊谷セツ子は、その犬と出会い、わさわさの白い毛に包まれているところから“わさお”と名付ける。セツ子は、わさおがアキラという少年を見つめていることに気付く。ある日、アキラが熊が出るという白神山中で迷子になってしまう。【元気のポイント】わさおの自由な姿と人々の笑顔
演技訓練を受けていない犬が主役を務める本作は、従来の“犬”映画では考えられないこと。一度見たら忘れられない風貌のわさおの良さを存分に引き出すには、わさおのホームグラウンドである青森県西津軽郡鰺ヶ沢町で撮影することだった。町の全面協力を受けて、オールロケを敢行。普段、散歩する浜辺や、親しみのある土地でのびのびと自由に走り回ったり、眠る姿は、見ている人を自然と笑顔にさせる。ありのままの姿を撮影しようと、わさおが動くまで待つ続けたり、好きなおもちゃ、お気に入りのトラックの荷台を上手く使用するなど、様々な工夫を凝らした。こうして完成した映像は、世界遺産である白神山地の北端に位置する日本一夕日の美しい町の魅力を存分に映し出している。また、それぞれに悩みを抱えながらも、笑顔で楽しんで生きていく人々の姿や、協力し合う姿には元気をもらえる。【東北文化】ねぶた祭りで復興に協力する
青森ねぶた祭りは、1980年に国の重要無形民俗文化財に指定された、8月2日から7日まで開催される夏祭り。毎年、300万人以上の観光客が訪れ、地元の伝説や偉人、NHK大河ドラマなどのテレビ番組を題材にねぶたは製作される。もちろん、本作の中でも町民がエキストラとして参加し、ねぶた祭りのシーンが撮影された。わさおをねぶたに見立てた“わさおねぶた”も登場し、高さ約2メートル、幅約1.5メートル、奥行き約2.7メートルという大きさのねぶたは、本作のためにねぶた師の竹浪比呂央氏が製作したものだ。ちなみに、2010年時点で、ねぶた師は12人。数少ない貴重な存在である彼らが作り出すねぶたは、それぞれ作風が異なるという。震災があった年である2011年も開催され、青森ねぶた祭実行委員会と青森ねぶた運行団体協議会は、「けっぱれ東北！！」応援シールを販売。売上金の全額を福島県に放射能対策として寄付している。【まとめ】この町だから成立した作品
3月5日に公開された本作は、震災の影響もあって上映ができなくなってしまった映画館もあったそう。その中でも、本作を観た人が「何だかホッとした」という意見が届いた、と公式サイトが明かしている。薬師丸ひろ子が歌う主題歌「僕の宝物」の歌詞には「僕はそばにいるよ、どんな時でも、君のこと見守っている。僕の声が君に届くといいな、僕の君に届きますように」とある。映画と同様、主題歌からも元気づけられる。本作は、わさおありきの映画だ。しかし、地元の人々の協力、自然が多く存在する鰺ヶ沢町でなければ、完成させることはできなかった。その点にも是非、注目してもらいたい。・「東北・映画で元気に復興」特集
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