13日に、今年の野球殿堂入りの投票結果が発表され、競技者表彰では93年に32歳の若さで脳腫瘍により死去した津田恒美さんが、同じ元広島の北別府学さんとともに選出されたという。

津田さんはその現役時代、闘志溢れる熱投ぶりから「炎のストッパー」と呼ばれた。
また、度重なる故障にも挫けないガッツやその病魔との闘い、そして最後までマウンドへの執念を失わなかった野球への情熱で、われわれファンに勇気と感動を与えてくれた。
プロ野球の歴史を語る上で、忘れることの出来ない「記憶に残る」選手だった。

しかし、しかしである。
多くの反論を覚悟で言うが、私は彼の殿堂入りには反対である。
そのインパクトの大きさとは別に、病魔に蝕まれたために彼の実働期間は短く、通算成績は49勝41敗90セーブでしかない。
全盛期は間違いなく傑出した投手ではあったが、殿堂入りに値するかどうかは別物だ。
これが、「特別賞」的な例外措置だと言うならまだ理解できるが、わたしが目にした範囲の報道では、通常の「競技者表彰のプレーヤー部門」のようだ。
少なくとも、彼が選ばれるならその遥か前に佐々木主浩は選出されていなければならない。
それどころか、通算4000打数以上では史上最高の通算打率.320を記録したレロン・リーを初め、ランディ・バースやブーマー・ウエルズなど、外国人選手は蚊帳の外に置かれたままだ。
なにせ、あの落合博満ですら長年煮え湯を飲まされ続けて昨年ようやく選出されたのだ。
日本の野球殿堂の選出に関しては、理解に苦しむことだらけだ。
投票権のある記者達の見識を問いたい。

津田さんのファンへ与えてくれた感動に報いたいというのは判る。
であれば、通常の競技者表彰では無く、別の規定による「特別賞」を新設すべきである。
しかし、まず本来表彰すべき人たちの殿堂入りを実現することの方が先決である。