ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜<br />©2011 DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
 2012年に公開を控える新作映画の中で、MOVIE ENTER編集部オススメの作品を紹介する「2012年先取り映画」。“映画は芸術ハラ”が前回の『青い塩』に続き紹介する作品は、先日発表された「第69回ゴールデン・グローブ賞」にて見事4部門で5ノミネートを果たし、3月31日(土)よりTOHOシネマズシャンテ他で全国公開となる『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』です。

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜

 “ヘルプ”とは、お手伝いをする人のことで、かつてのアメリカ南部では黒人メイドたちのことを意味していた。しかし、自由のない時代に様々な苦しみを抱えて生きるメイドたちこそ、声にできない自分たちの叫びを聞いてくれる誰かの“ヘルプ”を必要としていた。彼女たちの“心の声”は、一冊の本「ヘルプ」として出版された。やがて、その本は、アメリカ南部の小さな街に大騒動を巻き起こす。それは、時代を動かす“変化”の始まりだった…。

黒人メイドに肉親以上の愛情を受け、育てられた白人女性

 舞台は1960年代のアメリカ南部。かの有名なキング牧師の「I Have a Dream」(私には夢がある)というスピーチでも知られるように、公民権運動が盛り上がる時代の流れに反して、南部では未だ前時代的な人種差別が根深く、公然と続けられていました。物語の主人公である白人女性スキーターは、いつも自分を優しく励ましてくれた黒人メイドの存在に、肉親以上の愛を感じながら育った多感な娘。保守的で古い因習が支配する土地で、進歩的な考えのスキーターは浮いた存在でした。

時代を変えたのは、一冊の「ストーリー」だった

 ライター志望のスキーターは、ジャクソンの町のメイドたちの実態を伝える本を書こうと決意しますが、執筆の道は険しく、社会からの報復を恐れる黒人女性たちは容易に口を開こうとはしませんでした。それでもスキーターの熱意が通じ、メイドの一人エイビリーンが勇気を出してインタビューに応じてくれ、やがてエイビリーンの親友ミニーや多くの黒人メイドたちもそこへ加わります。彼女たちの“心の声”は一冊の本「ヘルプ」として出版され、やがてその本はアメリカ南部の小さな街に大騒動を巻き起こします。それは時代を動かす“変化”の始まりでした…。

この物語はきっと、あなたの物語になる

 スキーターの他にも、黒人メイドとの友情を育む白人女性シーリアを演じるのは、カンヌ映画祭パルムドール(最高賞)作品『ツリー・オブ・ライフ』で演技力と美貌が一躍注目されたジェシカ・チャスティンです。人種差別を題材に、女性たちが主役の本作ですが、多数派の意見に染まらず、自己の価値観で信じた道を貫くスキーターとシーリアの姿は、学校や会社などの組織に身を置く、いまを生きるすべての人に捧げるメッセージとなることでしょう。

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜 - 公式サイト



映画は芸術ハラの総評

【見どころ】黒人メイド専用トイレを設置した白人女性のリーダーが食べた物
【こんな人に観て欲しい】大多数の意見に流されがちな人
【おすすめ度】★★★★★

映画は芸術ハラの「編集部的映画批評」一覧

編集部が新作を紹介『2012年先取り映画』
編集部員が個人的に称賛!『2011下半期アワード』
編集部が振り返る“心に残った映画”『2011上半期アワード』
編集部的映画批評

【2012年先取り映画】
vol.1 “時は金なり”という言葉が現実になった世
vol.2 こんな料理を作る子に、俺が殺せるか?
vol.3 日本で聞いた話を元に生まれた“大きな愛”の物語
vol.4 天才ドライバーの不器用すぎる恋

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