つい先日NHKで放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀 - 本田圭佑-」が本当に最高でした。ある種ネタ的に楽しんでみようと思って見ていたんですが、こりゃ意外といいこと言ってるぞということで、本田さんが番組で言っていたことをいくつかかいつまんで紹介したいと思います。以前の中田との対談も大変興味深いものでしたが、

対談「中田英寿×本田圭祐」のテキスト全文書き起こし B?

今回のNHKプロフェッショナルは本田さんの生き方というか、考え方みたいなものが垣間見えてとてもおもしろいです。ビジネスマンにも主婦にも学生にも、みんなに共通するかもしれない「信じる力」の大切さを本田さんは教えてくれています。

それでは早速NHKプロフェッショナルから、気になった部分をピックアップ。

常に自分の目指す場所を意識する

CSKAモスクワでの練習。本田さんはチームメイトたちとあまり談笑せず、距離をとって練習に集中し、ランニングではひとり先頭を走ってほかの選手たちをどんどん突き放して走ります。目指すべき場所を意識して今の自分の場所に満足しないという本田さんのストイックな向上心。

本田圭佑「当然ゴールはここじゃないし、ここで終わったらいけないと思っているわけです。ここに合わせてるといけないっていう自分がいてて、いつの間にかここにいることが当たり前って思ったらダメっていう時間でもあるんです。だから、わざとこいつらと走ったらあかんと思ってはいるんですよね」

大きいことを言ってあえて自分を追い込む

本田さんの目指すもの、それは「世界一のサッカー選手になる」ということ。常にそれを目指して走り続けてきた本田さん。2010年ワールドカップ前には「ベスト4を目指すのではなく優勝を目指してもいいんじゃないかと思います」と会見で答えます。一部ではそのビッグマウスぶりが取りあげられ、代表の不調もあって批判の声もありました。しかし、大会を終えてみれば本田は2得点という記録を残し下馬評を覆します。

本田圭佑「好きなんですよ。大きいことを吐いたら最初笑われるでしょう?それで見返した時の周りの反応が好きなんですよ。たぶん本能でそれが楽しい。でっかいことを言って笑われてても、自分が真顔で答えている方がおもろい生き方やなって思うんですよ」

入れ込むのが平常心

8月の韓国戦に向けて日本に帰国した本田さんはマスコミから浴びせられる質問にあまり積極的に答えません。「今日はあまりしゃべりたくないんでね、これくらいで」。試合前は自らを追い込むのが本田さん流のようです。

本田圭佑「入れ込むのが基本ですね。入れ込むのが平常心みたいな。2、3日前からは自分の頭は完全にゲームモードにして、戦闘モードの自分を作ってしまう。わざとそういう状況を作ってしまう。それに慣れてしまう」

自分の理想に対しどれだけ覚悟を持てるか

「自分はまだまだ弱い」と評する本田さん。しかし、常に自分の理想に対して挑戦を続けています。

本田圭佑「自分の理想というのは遥か先でどうジャンプしても追いつかない自分が先にいるんですよね。で、そこに対してどれだけの覚悟を持って挑めるか。そういうのを常に自問自答しながら、それから行動に移すわけじゃないですか、で、一方でそれを受け止めた上でクリアしていく障害もたくさんあって、それが自分のひとつの喜びになっているのは間違いないですよね」

信じる力

本田さんを支える一つの力。それが「信じる力」。これはきっと誰にでも、どんな仕事にも共通するとても大切なこと。

本田圭佑「信じることっていうのは、僕にとって希望なんですね。信じれなくなった時に、希望の光は見えなくなる。人って誰しもがうまく行かなかった時とかにちょっと疑うと思うんですね。その時に、いかに自分を信じることができるか。信じるというのは本当に希望そのものですよね」

「俺ならできる」と言い聞かせていた

VVV移籍後、チームは2部降格、本田も8試合連続ゴールなしと壁にぶつかっていた時、それでも本田さんは自分を信じ続けていたといいます。

本田圭佑「信じていましたね、自分を。(点が)取れてないときも絶対にとれると、こんだけ前にいれるんだからと。『俺ならできる』って呪文のように自分に言い聞かせていましたね」

これまでのサッカー人生において、何度も這い上がってきた本田さん。中学1年生でガンバ大阪のジュニアユースに入るも、ユースに昇格できなかったというエピソードはあまりにも有名です。ジュニアユース時代には走力が圧倒的に不足していて、チームメイトからもどやされていたそう。ジュニアユース時代の同期は「(本田は)ドベタ(最下位)でした。いい選手にはならないだろうなとは思っていました。全然サッカーもそこまでうまくもないし」と語るほど。そして本田さんは、サッカー人生で初めての挫折を経験した後、大阪を離れ石川県の星稜高校に入ります。

新天地で練習に打ち込む本田さん。「俺ならできる」それが口癖。しかし、どうしても打ち破れない壁がありました、それが「走ること」。苦手を克服しようとする本田さんのちょっとおもしろいエピソードがあります。走力のなかった本田さんは当時、陸上部の同級生である三輪さんに頼み込んで走り方を教えてもらうことにします。その時のことを陸上部の三輪さんはこう振り返ります。「(走り方を)見てくれと言われて、ちょっと違うねとか色々と言いながらやってました。こうやって走ったらいいの?とか聞いてきたり、すごくどん欲でもあったし、人一倍素直だったっていうのはありますね」。

本田さんは自らの可能性を信じ、毎朝6時からサッカー部の朝練の前に走り続けます。そして、その努力が実を結び、徐々にスピードがつきはじめ40分で6キロしか走れなかった距離が3年間で10キロまで伸びたんだとか。そして、そんな本田さんにプロの目が止まり、Jリーグ入りから海外挑戦へと続いていくのです。

他の奴がやってないことをやって差をつける

今も足が遅いと思っていますか? という質問に対しての答え。

本田圭佑「今も遅いですけど、それも誰と比べてかっていう話なんですよ。ちょっとずつ俺は速くなっているし、これからも速くなるんですね。でもみんなは足っていうのは才能やというところが若干あって、持って生まれたものみたいなね。俺はそう思ってなくて、絶対にみんなが着手しないところを着手して、周りとの差をつける(本田はいま専属トレーナーと走力の強化に取り組んでいる)。確かに伸び率は少ない訳ですよ。頑張った割には合ってない、たしかに。それよりはもうちょっと違うことをした方が選手としてのあれは伸びるんじゃないかっていうのはわかる。それはやると。ただ、人生1日24時間のなかで余った時間はまだほかにもあるわけです。それはもう他の奴が休んでいる間に走ることに着手すればいい。プラスαちょっと伸びるだけですごいことになるんですよ、サッカーって」

「谷」が無いと「山」の喜びは感じられない

ケガをきっかけに本田さんが語った人生やサッカーにおける「山と谷」、そして「信じる力」について。

本田圭佑「ケガしたことはね、残念ですけどしょうがないですし、ケガして思ったのは僕、チャンスやなと。すごい遠い試合に向けて自分を作り直せるっていうのは、いままでこういうケガをしたことがなかったから、俺はチャンスやなと思ってるんですけどね。やっぱり人生って、サッカーもそうですけど、谷が無いと山の喜びって感じられなくないですか? 喜びに慣れてしまったら喜びってもう喜びとして感じられへんのちゃうかなとか。誰しも山を狙った結果、谷へ行ってしまう、転げ落ちてしまう、でも這い上がろうと這い上がろうとしてそこに新しい発見があり、喜びがある」

本田圭佑「ここまで来たらもう理由なんて無いんですよ。ただトップが見たいだけ。俺はまだまだね、その領域には達してないって自分ではわかってますけど、自分はまだまだやれると、もっともっとすごいスポードで成長していけると思ってるんで。まだ2年経ってへんかな、フェンロにいたことを思えばこれから2年後にどこにいてもおかしくないと思ってますんで。必ずやりますよ」

弱い自分に打ち勝って自分らしく生き続ける

お決まりの「プロフェッショナルとは?」に対して。

本田圭佑「自分らしく今後も生き続けていくことがプロフェッショナルなのかなと。自分と向き合って、自問自答して自分と格闘して、弱い自分に打ち勝って自分らしく生き続けることが、なんか自分に与えられた使命。自分っていうか、みんなですよ。そういう意味では俺はまだプロフェッショナルになれたんかどうかわかってないというか。今自分の形が見えてきたっていうか、何が始められそうなのか、そしてそれをずっと自分に打ち勝っていくことでプロフェッショナルというものを続けて、自分の人生を続けていくものなのかなって、かなり偉そうに言ってますね(キメ顔)」

いかがでしたでしょうか? サッカーだけの話ではなくて、本田さんが語っていた内容はどんな仕事をしている人であれ何であれ思わずハッとさせられる部分があったのではないでしょうか。

このNHKプロフェッショナルを通して、発言の節々に本田さんの自分を信じる姿勢がみてとれました。自分を信じられずに何かに挑戦できなかったり、周りの環境に流されて甘えてしまったり、妥協し楽な道を選んでしまったり……。自分らしさは人それぞれでしょうが「自分を信じる」ことはとても大切だと思うのです。

最後に似たような人生の教訓的な名言(岡ちゃんver.)をまとめた記事もどうぞ。

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