韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は19日、韓国を訪問した野田佳彦首相と首脳会談を行い、日韓間の通貨スワップを現在の130億ドル規模から700億ドル(約5兆3700億円)に拡大することで合意した。野田首相の外国訪問は国際会議出席を除けば、就任後初めてとなる。日韓首脳の本来の交流日程によれば、2011年秋に韓国大統領が日本を訪問する予定だったが、野田首相が突然日程を変更し、自ら韓国を訪問することになったのだろうか。中国メディアの経済網が19日に報じた。

 記事は「日本が日韓関係の改善を焦っているからだ」と指摘する。今年に入って、日韓関係に影響を与える2つの問題が再び注目されるようになった。1つは歴史問題、もう1つは領土問題である。

 歴史問題とは具体的には慰安婦問題だ。韓国の憲法裁判所は11年8月、「韓国政府が解決策を講じてこなかったのは被害者の人権を侵害するもので違憲行為に当たる」との判決を下した。その後、韓国政府は日本政府に対応を迫ったのだが、日本政府は「すでに解決済み」と返答した。日本側が述べる「解決済み」とは1965年の国交正常化時に締結された日韓請求権協定のことであるが、慰安婦問題は90年代に明らかになったものでこの協定には含まれないというのが韓国側の主張だ。

 領土問題とは竹島(韓国名:独島)の領有権問題だ。11年3月に韓国は日本の教科書に竹島が日本領土として記載されていることに反対し、その後日本は韓国の内閣議員が続けて竹島を訪問したことに抗議した。11年8月には竹島に近い鬱陵(ウルルン)島を訪問予定の日本の国会議員3名の韓国入国が認められなかったことで両国関係は一気に冷めてしまった。

 記事は、「普天間基地移転問題も短期間に解決の見通しが立たず、日米関係の改善もすぐに期待できない。東アジアの行き詰まった外交を打開するため、野田首相は韓国大統領がやってくるのを座って待つことをやめ、通貨スワップ拡大という手土産を持って自ら韓国を訪問することで日韓関係を改善しようとしたのだ」と分析。今回は良好な雰囲気を作り出すために、未来志向の両国関係強化のみを話し合い、歴史問題や領土問題には触れないことを取り決めていたのだ。(編集担当:及川源十郎)