とりあえずスタメン
スタメン


 もうかなり前の試合なので、簡単に振り返るのだ。一応、最強と謳われているバルサに、かつての最強のミランが挑むこの試合。残念なのは、イブラヒモビッチの離脱。ぜひとも、カンプノウで復讐を果たしたかっただろう。その役目はザンブロッタに任せたか。腐ってもミランなので、期待している人は多そうなイメージ。別に腐ってないか。

 4-3-3かなと思ったバルサだが、試合が始まるとこのように変化した。
  
移動。


 移動の結果はこのようになる。
 
結果だよん


 第一印象は、ずいぶんと偏ったシステムだなということ。注目しているサイドからの仕掛けはアウベスとペドロが担っていた。左サイドはWGで、右サイドはSBが行う。右サイドのWGはビジャ。そのビジャは相手のSBとCBの間に常駐していた。注意することは、ビジャは中央ではなく、相手のSBとCBの間にいたこと。プレーエリアが狭かったのだ。

 ミランの守備は4-3-プリンセス。カッサーノとパトはきまぐれにプレスバックで相手を苦しめていたけれど、バルサにとって厄介なものではなかったと思う。なので、ビルドアップに苦労することのないバルセロナは、基本的に相手陣地でプレーすることができた。相手が2トップだからって、3バックにする必要はあったんかいなとくらいに。

 ミランの守備は中央を分厚く固めているので、中央からの攻撃には強い。なので、バルサはサイドから攻撃したいんだけど、中央よりの攻撃が多かった。サイドからはやっぱりアウベスとペドロの特攻がメイン。ロナウジーニョを追い越しまくっていたファン・ブロンクホルストが懐かしい。ペドロはアバテに勝てず、アウベスも復讐にもえるザンブロッタ相手になかなか苦しんでいた。

 ミランの守備は、そのうちに7-プリンセスー2のような形になっていって、バルサはかなり苦しむ。バイタルエリアがあかないので、CBが常にカバーリングできるような状態。なので、ファン・ボメルたちを自分たちの陣地におびき出したいんだけど、パトの奇襲によって、ミランが先制しているんだから、たちがわるい。

 サイドからの単騎特攻は可能性が少なく、中央は相手が固めている状態。動き出したのはイニエスタとメッシ。ドリブルで相手のゾーンを剥がしにかかる。ドリブルで仕掛けるのはゾーンの外からなので、バルサの前線の動きが出てくる。よって、シャビたちは相手の裏に飛び出そうとする。でも、裏までの距離が遠い。ビジャは相変わらず常駐していて、不思議な感じ。

 つまり、バルサはミランにうまく守られてしまっていた。原因を考えると、サイドが孤立。相手が中央を固めているのに中央攻撃が多い。後方からの支援が地味に少ない。アビダルとマスチェラーノは攻撃しないのかよ。中央のポジションが固定気味。なので、メッシとイにエスタのドリブル判断は優秀だなと。

 で、動き出したはグアルディオラ。ペドロとビジャの位置を交換。左サイドから仕掛けるならビジャだという結論。これはペドロよりは可能性を感じさせた。で、このペドロの動きがなかなかユニークだった。

だだ


 白丸がペドロのプレーエリアと考えてくださいな。ビジャと比べると、かなり広範囲に動き回っている。これが非常に解せないところなのだ。ビジャはあんなに動かなかったのに、ペドロはあんなに動き回っている。この両者の差はなんなんだろうと。だって、ビジャも動ける選手だと思うのだ。だから、なんか強烈な違和感があった。

 で、ここからが本題。ペドロの存在が相手のバイタルエリアをこじ開けることに成功したのである。それは以下のような動き。っても非常にありふれているけれども。

だだだだ


 ああ、セスクとメッシの関係かってやつ。ファン・ボメルの視野にわざと入って、相手をひきつけて味方を自由にするのだから、たちがわるい。これで、ファン・ボメルのポジションが狂い始める。そして、バイタルを使ったり、ファン・ボメルを無効化するバルサの面々。そして、メッシの個人技が炸裂して、バルサが同点に追いつく。

 同点に追いつかれたことで、ミランは高い位置から守備をしようとするけれど、簡単にプレスをはがされる日常。なので、自然と4-3の間のスペースを攻略されるようになる。そして、セットプレーからブスケツがファウルをもらって、ビジャが直接決める。

 そのあとはバルサが好き勝手に試合を支配して、メッシがオープンな状況から得意のドリブル突破VSネスタという場面が頻出した。ネスタがスライディングで防げば、次はネスタにイエローで止めさせるというハイレベルの攻防はかなりの見ごたえがあった。

 で、耐えに耐えたミランにご褒美がロスタイム。コーナーキックからチアゴ・シウバがズドン。こうして、同点で試合が終了した。

 ■独り言

 前半のバルサはイージーなミスをする場面が多く、非常にらしくなかった。相手の守備が良かったからだという指摘も成り立つが、何かおかしい。たぶん、ポジショニングが来るっていんじゃないかなと推測する。攻撃の人数も減っているような気がするし。昨年までのバルサなら、DFラインの選手がもっと中盤を助けたんじゃないかなと。だから、数的優位が微妙に見える。

 システムをいじり始めてからのバルサは、非常にらしさを取り戻したと思う。ま、ミランの足が止まったからということもできるけれど。この試合でもペドロとメッシの縦関係から自分たちの流れを作ることができた。なので、この形を日常的に行いたい。メッシがトップ下の位置に降りてきた状態で、シャビイニの位置の選手が相手の裏に飛び出していくのは、ちょっと距離がある。相手を完全に押し込めていれば、それでもできるかもしれないけどさ。

 というわけで、まとめよう。サイド攻撃はやはり誰かに託されて、単独特攻の趣がある。で、それを機能させられそうな選手はいない。イニエスタやメッシがサイドに配置されれば楽しそうだけど、絶対にないさそう。後方の選手の攻撃参加が少ないイメージ。理由はわからん。そんなところに注目して、追いかけてみよう。