下村健一内閣審議官

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 菅直人首相が東日本大震災発生翌日の2011年3月12日にヘリコプターで福島第1原発を視察し、野党から批判された件について、広報担当の下村健一内閣審議官は8月20日、ニコニコ生放送で当時の映像を紹介しながら反論した。

 菅首相は、ヘリコプター視察について「政治的パフォーマンスをしたかったのではないか」などと批判された。これに対し下村氏は「やっぱり私は、(視察に)行くべきだったと思いました」と振り返った。その理由については、

「総理官邸は、総合的な情報が一番入るんですよ。(それは)生の情報ではない。たくさんのステップを通じて上へ上へあがってきた情報だから。一体何が起きたのかという全体像をつかむことが必要だった」

とし、

「やっぱりテレビだけだとわからないですよね。今回の震災って。現場でボランティアに入った方々が現場で息を飲むわけじゃないですか。(テレビの)四角い画面だとわからないんですよ」

と、下村氏は視察の意義を語った。

 下村氏は昨年10月、広報担当の内閣審議官に就任。元TBSの取材キャスターで、市民メディアのアドバイザーを務めた経験などをいかし、菅首相の行動をビデオカメラに収めてきた。下村氏が今回出演した「菅直人首相の側近が明かす!『去りゆく首相』の素顔」では、ヘリコプターでの視察映像以外にも、避難所に身を寄せる被災者が菅首相に感謝の意を伝えている様子などが紹介された。なかには自民党員だという男性が「総理は辞めなくていいですから。解散もしなくていいです」と菅首相に熱く語りかける場面もあった。

■マスメディアは意図と異なる部分を切り取るが・・・

 こうした映像をふまえ、司会を務めたジャーナリストの津田大介氏は首相側が伝えたい映像とは異なる部分をマスメディアが取り上げることについて聞いた。下村氏は、「メディアが批判的な部分を使うのは当たり前」とし、それとは別に菅首相の「もう一つの顔」を首相官邸ブログ「KAN-FULL BLOG(カンフル・ブログ)」で伝えていくことが自身の仕事であると説明した。

 これに対し、ビデオジャーナリストの神保哲生氏は、

「世論に対してマスメディアは圧倒的な力を持っている現実がある」

とし、

「下村さんが『カンフル・ブログ』でビデオをだしても、マスメディアが圧倒的に管政権に対して批判的な時に、支持率も下がっている中では、そもそもそういうの(菅首相の映像)を見ようという数は少なくなるだろう。そういう意味ではマスメディアの使い方に失敗したんじゃないかなと思う」

と分析した。

(松本圭司)

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]菅首相ヘリコプター視察シーンから視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv60269518?po=newslivedoor&ref=news#20:30