「合併か、それとも復縁の可能性があるのか…」。厳しい生き残りを強いられた大和証券グループ本社が繰り出す“次の手”が俄かに注目を集めている。

 同社は今年3月期、373億円の最終赤字(前期は434億円の黒字)に転落した。昨年の欧州危機と東日本大震災に伴う市場の混乱に直撃されて、ライバル野村証券は58%減、SMBC日興は60%減ながら最終的には黒字を確保したとあって、大和のジリ貧は嫌でも突出する形となった。
 「2009年に三井住友との提携を解消したことで深刻なダメージを被ったのが法人部門。何せ株式引き受け、M&Aアドバイザリー手数料などで惨敗を喫し、このままでは立ち行かなくなるのは明らか。そこで4月に就任した日比野隆司社長が起死回生策に打って出た。その延長としていま、究極の生き残り策が囁かれているのです」(担当記者)

 4月1日付で就任した日比野社長は持ち株会社のグループ本社に加えて個人部門の大和証券、法人部門の大和証券キャピタル・マーケッツ社長を兼任した。そもそも大和が個人部門と法人部門を2つの会社に分けたのは、1999年に当時の住友銀行との提携を機に、法人部門を旧住友との共同出資会社にした経緯からで、提携の解消に伴い現社名に変更し、現在は大和の100%子会社となっている。
 就任早々の日比野社長が打ち出した新戦略で関係者が「さては次なる仕掛けへの布石か」と色めき立ったのは大きく2つある。一つは7月1日付で行った大規模な人事異動。約400人のベテラン社員を大和証券の支店営業、大和証券キャピタル・マーケッツの未上場企業営業などに配置転換させたのだ。それも「研修生」として新入社員と同様、都内の研修所で1カ月間にわたって基礎知識を叩き込まれる。ベテラン社員へのこの扱いは「露骨な肩たたき」「事実上の退職勧奨」と受け取られているようだ。しかも同業他社に比べ、まだまだ余剰人員があるとして第2弾、第3弾の人事異動も予定されているとあっては「管理部門を中心に中堅クラスが疑心暗鬼に陥っている」(関係者)のも無理はない。

 もう一つは来年4月をメドに大和証券と大和証券キャピタル・マーケッツの合併シナリオを描いていることだ。野村証券などのライバルは個人部門と法人部門を併せ持っており、持ち株会社の下に2つの会社をぶら下げる必然性はない。日比野社長の就任早々から両社の合併は「コスト削減の面から規定路線」とされてきた。別会社として人事や企画など重複するセクションを抱えるよりは、合併を機に収益性が高い債権の引き受け、M&Aの助言などの投資銀行業務に人材を重点的に配置した方が遥かに効率的で収益に寄与するためだ。早くも市場には「大和証券と大和証券キャピタル・マーケッツが合併すれば余剰人員の整理に一段と弾みがつく。むしろ合併は一層苛烈なリストラを狙ってのことではないか」との観測さえ飛び交っている。

 しかし、大和OBは「その程度では野村の牙城を突き崩せるわけがない。これで日比野社長がもっと野心的なアクションを起こさなければ、逆に大和がM&Aの標的になりかねません」と警告する。