文字どおり頭脳的なプレー…!

もうない、もう出尽くした、そう思っても工夫ってのはあるもの。一見考えつくされたように思える野球の作戦でも、さまざまなイノベーションが隠されているのです。たとえば「無駄だから1球もボールを投げない」とか「接戦なると勝負弱いからコールド勝ちを狙う」など、従来の野球のセオリーとは真逆の発想から新戦術が生まれることもあるでしょう。工夫に終わりはないのです。

特にまだまだ活用の余地があるのは心理的な隙をつく手法。人間は想定外の事態に直面すると、何が起きたかわからず、その対応に混乱します。かつてラモス瑠偉氏が使いこなした「ラモスフェイント」なども、自分がドリブルしている間に突然「えっ?」みたいな顔で立ち止まり、あたかも主審の笛でプレーが止まったような素振りでボールを拾う動きを見せ、相手DFが動きを止めたところでやおらドリブルを再開して抜く、という心理的な技でした。

そのように人間の心理的な隙を突く余地は、試合中にまだまだ残されているはずです。手品では右手をみせびらかしながら、左手で小細工をするのが常道。相手の集中力を動作や言葉で巧みに「誤った方向」へと誘導…ミスディレクションし、目の前に居ながら堂々と小細工をすることにこそ手品の醍醐味があるのです。手品師が右手を上げたら左手に注目し、視線を左に向けたら右側を注視すると、シレッとポケットからタネを取り出す姿が見えてくるもの。

真正面からぶつかっては勝てない格上の相手も、気を逸らせば並の人という場合もあるでしょう。心技体という言葉もあるように、技術・戦術で勝てない場合は相手の「心」を乱してみるのも手。サッカー日本代表の長谷部誠さんが「心を整える。」なんて自分用メンタル術を披露しているそうですが、この機会に千葉ロッテの里崎智也さんや柔道の谷亮子さんあたりも「心を整えさせない。」という相手妨害用メンタル術を披露してみてもいいかもしれません。僕もその技術により、不思議と毎回毎回「イラッ」と心乱されているくらいですし…。

ということで、心理的隙を突く手法について、サッカーのFKの場面から学んでいきましょう。



◆身体で相手を動かすか、頭で相手を動かすか、そこが問題です!

サッカーのFKの際、邪魔になるのは壁。相手選手が居並びコースを塞がれると、相当な名手でないかぎり直接ゴールするのは困難。サッカー日本代表の名手・本田選手でも壁にぶち当てたり、壁を越えようとしてゴールも越えていったりすることがしばしば。もしこの壁をどかすことができれば、ゴールの確率はグッと上がるはずです。

もちろん、そのためにさまざまな工夫が生み出されてきました。ボールの周りにふたりが立って右か左か惑わせる。片方がチョンと蹴り出して壁のない場所から蹴る。壁の中に味方が立って、ボールを通すコースを確保する。ひとりが蹴る素振りでボールをまたぎ、「蹴らないのかよ」と相手が緊張を緩めた瞬間に別の人間が蹴る。その手法は多種多様。

↓中には、強引に相手を押してしまうという手も!


これぞフィジカルを活かしたプレー!

J2でまたこんな活躍が見たいぞ…!


しかし、毎回毎回相手を押しているわけにもいきません。押されれば相手も踏ん張りますし、この程度の押し合いは覚悟の上でしょう。もっと心の隙を突きたい。何らかの方法でビックリさせて、キョトンとしている間に攻めたい。そんな発想から生まれた頭脳的プレーがあるのだとか。世界のトップリーグでもあまり見られない方法だけに、習得するなら今がチャンス。これはぜひJリーグの選手たちにも学んでもらいたいところです。

↓頭を使って壁をキョトンとさせる頭脳的プレー!




き、汚ったねぇwwwwwww

こんな練習してくるなwwwwwwww

誰かがコケたとき、人間ならまず「大丈夫ですか?」と安否が気になるもの。そんな優しさにつけ込んだ姑息な作戦。しかし、これもまた勝負のうち。かの輪島功一氏がワザとよそ見をして、相手がつられたところをぶん殴ったように、頭脳的なプレーで相手の気を逸らすのは立派な作戦なのです。FKにもうひと工夫を検討中のみなさんには、「意図的に相手をあざむくような策略」ととられない程度に、ナチュラルなコケ方を習得してもらいたいものですね…。

味方が心配して駆け寄ってこないよう、実施前には周知徹底をお願いします!


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