危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし!

「知っている道を行くのが一番楽しい。新しい道を行くのは苦しい」とは、かのセルジオ越後氏の言葉。1日に行なわれたキリンカップ日本代表VSペルー代表戦は、まさに新しい道を苦しみながら進んだ一戦でした。ワールドカップからアジアカップへとつづいた日本代表の快走からすれば、随分と滞り、消化不良な試合ぶりでしたが、これが新しい道を行く苦しさ。同じことばかりで退屈してしまうより、ずっと刺激的で結構。この道を行けばどうなるものか、それを確かめるのが人生の喜びなのですから。

試合自体は非常に低調な内容でスコアレスドロー。ただ、その中には新しい試みがいくつもありました。前半で採用した3-4-3システム。中盤のサイドで起用され、代表初キャップを記録した西大伍。宇佐美や柴崎といった若いメンバーも代表に帯同。「どうでもいい試合で一回使っておくか…」「彼にも親兄弟がいるわけだし…」「思い出を作れ!」という森脇良太の代表初出場。今日の試合の面白さには活かされなくても、未来の試合の面白さには活かされそうな伏線がいくつも張られていました。

ワールドカップ予選が始まれば、アジアカップでひとつの到達を見せたやり方に戻すのでしょう。ただ、ひとつのやり方だけでは相手にも対策されますし、さらなる進化が見込めません。今回のように新たな試みでグダグダになる試合を見守るのも楽しいもの。岡ちゃんが取り立てて実績もないちびっ子を並べていた頃と違って、イタリアの名将がインテルや欧州CLベスト4・ブンデスリーガ優勝を並べて戦うのですから、不安になる必要などまったくないのです。

藪を抜けたらこの道がどこへつながるのか。青く澄んだ海なのか、色とりどりの花畑なのか。ワクワクして見守りたいものですね。

ということで、新システムにいろいろと戸惑いを感じた、キリンカップ「日本代表VSペルー代表戦」をチェックしていきましょう。



◆本来あるべき場所にあるべきものがない、そんな試合でした!

南米選手権への参加を辞退した日本代表。このペルー戦を入れても、ワールドカップ予選までは残り3試合。予選を万全に戦うための準備を急ピッチで進めなくてはいけない試合。しかし、その準備は国歌独唱で登場したカールスモーキー石井さんの、すんげー自分勝手でやたらテンポが遅く、「きーみーみーがーよーはー」とチグハグな君が代のように、戸惑いの多いものとなったのです。

↓何だこの「きーみーみーがーよー」はwwwwwwww


解説:「最終ラインにミーが多くなってますね」
解説:「ガーにもっと積極的に飛び出してもらいたいですね」
解説:「アーがいないとつなぎがチグハグですね」

迎えた試合開始。日本代表は3-4-3のフォーメーションでスタート。攻撃に掛ける人数を増やし、引きこもる相手から1点をもぎ取るオプションとして、アジア予選を前にぜひとも身につけておきたいやり方。中盤のサイドには安田理大・西大伍とサイドハーフ寄りのサイドバックを起用。前にガンガン行くよ、という意志を感じさせます。セルジオ越後氏も「そうですね。層が厚くなってほしいですね」とオープニングダジャレで期待感を滲ませます。

しかし、慣れないことをすると本性がのぞくのが日本。相手の攻撃に高い位置で対応し、サイドから反撃していきたいところですが、相手がボールを持つといつの間にか5バック気味になる布陣。せっかくボールを奪っても、前線の人数が足りず攻撃を仕掛けることができません。3トップも両翼が大きくサイドに開いてしまい、中央の前田が孤立。いつも以上にいるんだかいないんだかわからない感じで、前田が気配を消しつづけます。

それでも徐々に慣れてくるのは、さすが代表クラス。安田の位置が前目になり、岡崎・遠藤・長谷部が中央を交互に使うようになると、攻撃も少しスムーズに。前半17分には遠藤から裏に抜け出した関口へのパス、前半23分には遠藤・長谷部コンビおトリックFK、前半28分には長谷部が華麗に切り返してのシュートと、ペルーゴールに迫る攻撃も飛び出します。

一方ペルーは、ウッチーが「俺の相方を見てくれ」と絶賛するファルファンが1トップの位置で孤軍奮闘。シャルケでのプレーのようにサイドからガンガンこられると怖かったもしれませんが、後ろ向きでボールを受けるところからでは、ファルファンの怖さも半減。両チームとも悪い意味で譲らず、前半は無得点で終了。


後半頭からは西に替えて本田△を投入した日本代表。システムもやり慣れた4-2-3-1に変更。これで俄然動きがよくなった日本は、アジアカップのような連動性を発揮。後半開始早々の8分には、前半はどこにいたのかわからなかった前田が、相手ゴールへ迫りFKを獲得するなど、観客もドッとわくことに。

そしてこの日一番の盛り上がりとなったのは後半22分。関口に替えて“インテル”の長友が登場すると、新潟にこだまする拍手と大歓声。アジアカップ決勝のように、攻撃的な位置で仕事をする長友への期待感。「日本のエース登場」といった雰囲気に、僕の中の「納得いかない感」もグッと盛り上がってきます。

↓長友登場でわくスタジアムと、気持ちよくなっちゃってると予想される李!



李:「おおおおおおお…大歓声!」
李:「みなさまの李忠成が帰ってきましたよ…!」
李:「今日もYoutubeで俺動画見なきゃ…!」


しかし、せっかくの攻撃的長友投入も直後に安田が負傷退場したことで、長友はSBの位置に後退。画面外から猛烈な勢いで飛んできてボールを奪ったり、後半38分には本田△の起き上がりざまのシュートを呼び込んだりとインテルらしさは見せますが、決定的な仕事をするには至らず。

↓ちなみに、本田△はシュートを外したあとに笑いの決定力を見せた!


何だこの顔wwwwwwwwwwwwwwww

ペローンじゃねぇよwwwwwwwwwwww

そんな中、うっかりピッチで躍動することになったのは、ベンチの支配者・森脇良太。後半30分、代表帯同半年で初めてベンチを外れることになった森脇は、慣れないピッチで奮闘。後半32分には果敢なオーバーラップからFKを獲得、後半35分には相手に振り切られながらも懸命のクリア、後半37分にはあわやゴールというシュートも放つ大活躍。「でもベンチのほうが輝くな」「ベンチ手薄になってるやん」「ベンチからの飛び出しに期待したい」と世間からも森脇への賛辞の声が上がります。

長友がボールを奪い、森脇が相手に渡すという好循環なども見られ、終盤にはペルーの猛攻を引き出すことにも成功。参加できなかった南米選手権の厳しい雰囲気をふわっと感じられるという、思わぬ収穫を得られました。ただただ親善試合をやるのではなく、たくさんの課題・テストを盛り込み、濃密なテストマッチをこなした…今回のペルー戦は大いに評価してよい試合だったのではないでしょうか。

↓終盤はペルーの猛攻を受けるも、川島とゴールポストのセーブで守りきり0-0終戦!


ポスト:「オレオレ」
ポスト:「守護神オレだって」
ポスト:「ドヤッ!」

まぁ運も実力のうちということで!お疲れさまでした!

新しい道を行く楽しさを、次のチェコ戦でも積極的に感じていきましょう!

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