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 MOVIE ENTERの編集部員が好き勝手に映画を批評する「編集部的映画批評」。ハリウッド超大作は他のメンバーに任せるとして、ミニシアターやアート系?作品を主に担当するハラといいます。第1回にご紹介する作品は、4月9日から22日までの2週間限定で、東京・新宿バルト9と大阪・梅田ブルク7にて公開となる『管制塔』です。

管制塔

 アーティスト「Galileo Galilei」(ガリレオガリレイ)の初オリジナル曲「管制塔」を基に、『ソラニン』の三木孝浩監督がふたりの中学生男女の出会い、音楽を通して変わりゆく姿を描いた人間ドラマ。主演は『告白』での印象が強い人も多いであろう新進女優・橋本愛とTVドラマ『クローンベイビー』など今後の活躍が期待される山崎賢人。ふたりが醸し出す独特の空気感は必見。

10代限定フェス「閃光ライオット」の初代グランプリ、人気バンドGalileo Galileiの楽曲が映画化

 Galileo Galileiは映画の舞台と同じく、北海道の北端・稚内出身の人気4人組バンドです。2008年夏に初開催された10代限定フェス『閃光ライオット』では、5,000組超の参加者の中から見事グランプリを獲得。昨年2月に発売したデビューアルバムのタイトル曲「ハナマスの花」は、au「LISMO」CMソングとして大量オンエアされ100万ダウンロードを突破しているので、バンド名を知らなくても彼らの楽曲を耳にした人は多いハズ。

200本以上のミュージックビデオを手掛けた監督による、音楽と映画

 本作は、Galileo Galileiのドキュメンタリーではなく、「管制塔」という楽曲から受けたインスピレーションから生まれたオリジナルストーリーです。監督の三木孝浩は、昨年4月には宮崎あおいと高良健吾らが出演し大ヒットを記録した『ソラニン』で長編初監督を務めましたが、これまでにもYUIやUVERworldらのミュージックビデオを多数手がけており、2009年に手掛けたJUJU feat. Spontania「素直になれたら」は『第56回カンヌ国際広告祭』でメディア部門・金賞とサイバー部門・銅賞を受賞。『ソラニン』に続き、音楽と深い関わりのある本作の監督として、まさに適任者といえます。

『告白』の美少女・橋本愛が、ムーミンの「ミイ」に?

 物語は雪の降る稚内の中学校を舞台に、空を舞う紙ヒコーキによって、山崎賢人演じる中学生・藤田駈(15)と、転校生・滝本瑞穂(15)が出会う場面から始まります。瑞穂を演じる橋本愛(15)は、今年2月に発表された『第34回日本アカデミー賞』で最優秀作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞を受賞した『告白』で学級委員・美月役を演じた美少女で、今月30日には山田悠介・原作による主演映画『アバター』の公開も控えているのでそちらも注目。

 稚内よりも更に北に位置するフィンランドのトーベ・ヤンソン原作『ムーミン』に登場する姉弟「ミイ」と「スナフキン」(スウェーデン語では「スヌスムムリク」)との関係性のように、一人でいるのが好きで怖いもの知らずな瑞穂と、自由と孤独を愛する駈は、お互いに自分の居場所を見つけられずに、不思議と魅かれ合います。隣に座って頭を寄せ合いイヤホンを半分こして音楽を聴いたり、放課後に自転車を二人乗りしたりと、その距離は徐々に近づいていき、アコースティックギターを手に入れた駈は、ピアノを弾く瑞穂とバンドを結成することになり…。

美しい北海道・稚内の雪景色と、10代が奏でるエモーショナルな音楽

 わずか67分の上映時間のため、山アリ谷アリの急展開ではありませんが、白銀の雪景色が広がる稚内の大地と、Galileo Galileiの主題歌が、駈と瑞穂の感情と成長を美しくも熱く描きます。彼らを取り巻く学校や家庭での人間関係や、恋愛やバンド活動など多感な10代で抱いた感情は、10代を卒業した大人たちが観ても、淡くもほろ苦い記憶を呼び起こす貴重な時間となることでしょう。

 ケータイ音楽ドラマ『DOR@MO』では現在、公開前スペシャルコンテンツがケータイ、スマートフォンで楽しめるので、本作が気になる方はまずはそちらを。Galileo Galileiの主題歌「管制塔」は、今年2月に発売された彼らのファーストアルバム「パレード」に収録されているので、映像だけでなく音楽にも注目して映画を鑑賞すると、更に楽しみが増しますよ。

映画は芸術ハラの所見評価

メッセージ性:★★

映像美:★★★

サウンドトラック:★★★★

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