イタリアには忘れられないワールドカップ(W杯)がある。議論を呼ぶゴールや、議論を呼ぶ交代のために忘れられないのではない。ある一人の人物の顔から、その大会のことを忘れられないのだ。

その大会とは、日本と韓国で共催された2002年のW杯である。そしてその人物とは、丸い顔つきと悲しげな目をしたバイロン・モレノ氏のことだ。予選突破、いくつかの試合、そして勝利…決勝トーナメント1回戦の韓国戦で、エクアドルのキトから来たモレノ氏がイタリアの大会敗退に大きく影響したことによって、すべてが忘れ去られることになってしまった。

そのモレノ氏が再び世間の注目を浴びたのは、昨年9月21日のことだ。理由は、自分の体につけておいた複数の袋で、約6キロのヘロインを持ち込もうとしたとして、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港で逮捕されたからである。そして14日、このニュースに関して新たな情報が届けられた。

モレノ氏が麻薬の密輸を認めたのだ。かつてホイッスルを吹いていた同氏は、ブルックリンの連邦裁判所で、自らの罪を認めたのである。これにより、同氏は63カ月、5年以上の禁固刑に科される可能性がある。

判決の日づけは明らかになっていない。モレノ氏は現在拘留中だ。