内モンゴル自治区バオトウ市は中国国内レアアース生産量の8割を占める。市内白雲鄂博鉱区も生産地の1つだが8年前に既に「汚染の状況が深刻な村で、人が生存するのには適さない」といわれた地区だ。汚染が健康害を及ぼすと知りながらも、農地、レアアース鉱での仕事、政府からの汚染手当てなどの収入源がなくなれば生活できないと、村民らは移民を拒否している。南方週末が伝えた。 

 今年7月に中国政府がレアアースの減産、輸出制限をした理由の1つに深刻な汚染問題があるとされる。同地区東側地区はかつて民間のレアアース鉱が集合していたが、今年の春、政府が汚染を理由にこれらの企業全部を閉鎖させた。

 同地区は鉄鉱以外に豊富なレアアースあり、しかもいずれも露天鉱。紫外線を浴びたレアアース中には高レベルの放射能を発するの希元素が多く含まれ、がんを誘発するという。

 村落の間には、ある外国の専門家が飛行機で村落上空の放射能を観察したところ、一瞬で最高値に達したため、ただちに引き返したといううわさ話があるほどだ。

 窓ガラスは空気中の化学物質と反応を起こして毎日美しい模様をつくり、地下水には茶褐色の沈殿物が見え臭気もある。農産物の収穫量は50キロメートル離れた土地の6-7割にとどまり、家畜に奇形などが多発している。

 白雲鄂博鉱区で民営の鉱山が破産し政府により整理されたのと同時期に、政府は周辺住民の移民計画を決めた。対象となったのは5村約5千人だ。地元政府と企業が共同出資し、西へ10キロ離れた5、6階建ての住宅60棟を建設した。高速道路や国道へのアクセスもいい場所で、団地内には小学校と幼稚園もある。

 移民期間は9月21日から12月31日までで、先着500世帯には1万元の補償金が出るはずだったが、11月末現在移民した世帯はないという。その理由には、移民で農地を失っても生活の保障がないこと、政府の移民保証金が少ないこと、2009年の汚染地区手当てもまだ支払われていないことなどが考えられるという。(編集担当:鈴木朋子)



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