この1週間、MLBはマーク・マグワイアのステロイド使用の告白に揺れ、毎日のようにこの問題が報道された。月曜日、マグワイアは1990年代に断続的にステロイドを使っていたことを文書で認め、謝罪した。しかし、その後のインタビューでは、ステロイドの影響を否定する発言が続いた。FOXスポーツは「マグワイアの告白は不十分」とする記事を掲載した。

 文書には、ステロイドを使用したいきさつ、使用を後悔し、苦悩したことなどが書かれており、真摯な謝罪と受け止めて、過去の過ちを許すべきだとする意見も多かった。

 しかし、インタビューでは、1998年の当時の新記録となった1シーズン70本塁打について、その正当性を尋ねられても、薬物の影響を認めようとはしなかった。

 ステロイドはケガからの復帰を早め、健康を維持するために使ったもので、使用量も少量だったと述べた。強打者として残した数字は、すべて素質と努力、技術の向上、打撃理論を理解した結果だといいたいようだ。

 インタビュアーに、ステロイドは打球をより速く遠くに飛ばすのに役立ったのではないかと誘導されても、マグワイアは「それは絶対にない」と否定し、ステロイドを使わなくても同じだったと述べた。しかし、故障の絶えない30代の選手が、あっと驚く新記録を達成できるとは信じがたい。

 APスポーツのコラムニストは、同じ技術力のバンビとゴジラのどちらのほうが打球を遠くに飛ばせるか、その答えは明らかだと、マグワイアの成績にステロイドが影響していないはずがないとする論評を展開した。

『ステロイド時代』のもっとも大きなナゾは「だれ」ではなく「いったい何人」が使っていたのかだ。選手だけの問題でもない。ホームランこそが野球の華だとする風潮。人々の期待に応えるために、ホームランが出やすい球場を作る球団。選手がステロイドを使用していることを知りつつ、見ない振りをしてきたコーチや監督。ステロイドを選手に勧めたトレーナー。

 2009年には年明け早々、アレックス・ロドリゲスが過去のステロイド使用を認めた。疑惑が取りざたされているバリー・ボンズやロジャー・クレメンスといったかつてのスター選手たちも、マグワイアに続いて使用を告白するのだろうか。

 マグワイアも含めて、彼らの成績が野球殿堂入りにふさわしいだけに、ステロイドの影響を無視することはできない。