「モウリーニョがイエス(・キリスト)だというなら、私が彼の使徒でないことは確かだ」。インテルのジョゼ・モウリーニョ監督がその椅子に座ってから1年後、同じ椅子に座ったチェルシーのカルロ・アンチェロッティ監督はこう語った。その椅子とは、イタリアのテレビ番組『キャンブレッティ・ナイト』の舞台。昨季までセリエAでしのぎを削り、昨年の番組で自らを神になぞらえたモウリーニョ監督に対し、アンチェロッティ監督は冒頭のように答えたのである。

だが、司会者キャンブレッティ氏がアンチェロッティ監督に浴びせた質問は、彼が「病んでいる」と称するミランについて。アンチェロッティ監督は古巣について、次のように答えている。

「ミランは沈んでなどいないし、これからも沈むことはない。ただ、いくつかふさぐべきヒビはあるけどね。それが何か? ミランは前線が苦しんでいる。ただ、ミランのような歴史を持つクラブはほかにないんだ。ミランは2007年にクラブワールドカップを制した。その後は調子を落としたが、レオナルドは冷静に自分の仕事を続けなければいけない。彼は若い指揮官だし、クラブからも守ってもらっている。選手たちとも良い関係にあるよ」

一方、かつて率いたユヴェントスや、そのユーヴェが“主役”となったカルチョーポリ(不正スキャンダル)について尋ねられると、アンチェロッティ監督は「ユーヴェがいくつか小さな助けを受けたとは言えないが、06年にカルチョは大きな衝撃を受けた。だが今では、イタリアのサッカーはより落ち着き、より清廉潔白になっている」とコメントした。

また、アンチェロッティ監督は次のように述べ、ミランとの関係に問題がないことを強調している。

「長年の時を経て幕を閉じたすべての関係と同じように、我々も非常に大きな愛情を持って、その関係に終止符を打った。ベルルスコーニ(ミラン・オーナー)? 昨シーズンが終わってから3日後に話したよ。私がチェルシーへ行くと彼が知ったときのことだ。ただ、今でも我々の関係は良好だよ」

さらに今後について、イタリア代表のマルチェッロ・リッピ監督の後を継ぐことはあるのか、そして代表復帰が取りざたされるサンプドリアFWアントニオ・カッサーノについて、アンチェロッティ監督は「リッピの後に代表で指揮? 分からないよ。私は1年後や1年半後に起きることを計画できないんだ。カッサーノ? 彼の招集は私の問題ではない。リッピが正しい選択をするだろう」と話した。

ミランはリーグ再開となる18日、ローマとの一戦を控えているが、アンチェロッティ監督は「ずっと遠い将来にどうなるかは分からないよ」と、現役時代の古巣ローマへの関心を認めるとともに、18日の試合は「興味深く」見るつもりだと明かしている。

最後に、自身とレアル・マドリーへ移籍したMFカカーのどちらがよりミランに欠けているかと問われ、アンチェロッティ監督は「間違いなく、アンチェロッティよりもカカーと(昨季で引退した)マルディーニだ」と答えた。